Sailing・ストーリー
大人になってからほとんどというもの、自分のヨット、スウェル号で敢えて隔離された生活を送っている。最初こそ、孤独や未知なるものが、欠乏や寂しさへの恐怖を膨らませたが、そこを乗り越えてしまえば、こうした恐怖には何の根拠もない…
パタゴニア・ブックスが栄誉と興奮とともに、このたび公式にお届けする『マラマ・ホヌア:ホクレア─希望の航海』(文:ジェニファー・アレン/写真:ジョン・ビルダーバック)は、古代のウェイファインディング航法のみを使って帆走する…
体を電荷が脈打って流れ、頬の涙を拭った。上腕二頭筋と前腕のあいだに閃いた一筋の青い光が目を刺す。マストの索止めを放し、仲間の乗組員と戸惑いの視線を交わす。耳をつんざくような雷鳴が頭上にとどろく。数日前に登ったばかりの堂々…
風はなく、波は穏やかだ。双胴型航海カヌー「ホクレア」のまわりでさざ波を立てているのは、大きな円を描きながら子供たちが漕ぐパドルボードだけ。船首にはティリーフの花冠が掛けられ、帆は巻かれたままマストに結ばれている。ハワイの…
1975年の進水以来この魔法のような船「ホクレア」の、地域と人びとを結び、刺激し、変える力を目撃してきました。そのデッキの上で太平洋の民は、それまで600年間も眠っていた天文航法、ウェイファインディング、遠洋航海のアート…
ホクレア号は世界航海をつづけながら、私たちの「地球島」をいたわる「マラマ・ホヌア」を実践する人びとの国際的なネットワークを紡ぐ。昨年の秋にはアオテアロアのワイタンギに上陸し、数百人に迎えられた。マオリ族はニュージーランド…
2016年はアメリカ国立公園が誕生100周年を記念する。マラマ・ホヌア世界航海では、ホクレア号の乗組員が、アメリカ領サモア、カリブ海のセント・ジョン、フロリダのエバーグレーズなど複数の国立公園を訪問し、6月はじめにはニュ…
「ヘ・ワア・ヘ・モク、ヘ・モク・ヘ・ワア」はハワイの格言で、「カヌーは島であり、島はカヌーである」を意味する。 いまから数百年前、航海カヌーはポリネシア人が島々で生存するためのツールであり、それにより食料を探し、新たな土…
レフュジオ-すべてが油まみれ Video: Chris Malloy、Photo: Erin Feinblatt 先祖の詠唱がこれらの海岸の原初の執事を彷彿させるなか、クリス・マロイと〈ファーム・リーグ〉のメンバー、そし…
これまでの9年のあいだ「スウェル号」に乗船したペットは何匹かいた。そのほとんどは勝手に乗り込んできた連中だった。蓄えのバナナによく現れるヤモリなどは気にしない。ヤモリはいつも隠れているので、滅多に見ることはないし無害のう…
位置:北緯29°11.9 、東経170°35.2 「クジラだ」とトレイシーがデッキから鋭く叫んだ。僕はダニと下のサロンにいて、ケルヴィンが料理したキムチと海苔のチャーハンを遠慮したあと、昼食のハマスを食べていたところだっ…