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パタゴニアのウェアの製造:どこで?どうやって?なぜ?

パタゴニアのウェアの製造:どこで?どうやって?なぜ?

By パタゴニア    |   2012/04/26 2012年4月26日

パタゴニアの直営店やカスタマーサービスでは、ほぼ一週間に一度の割合でパタゴニアのウェアの製造についての質問をいただきます。どこで製造しているのですか? 中国で作っていますか? なぜですか? なぜここ、アメリカで製造しないのですか? 工場の労働条件は?

そこでより詳しい情報のリンクを含む、少し長めのブログ記事を書くことにしました。

まず、パタゴニアは自社の農場/繊維工場/製造工場をもっていません。けれども、私たちの名のもとに行われていることが目に見えないわけではありません。私たちはパタゴニアの製品を作るすべての労働者とパタゴニアのラベルが貼られた製品を成すすべてのものに責任があります。

私たちのサプライチェーンで他の人のために働く人たちに、私たちが何を請け負うべきか、私たちは長いあいだ問いつづけました。テクニカルウェアには確固とした縫製水準を、またカジュアルなスポーツウェアにすら高い縫製水準を適用しています。品質要件を満たすためにパタゴニアの製造スタッフがつねに惹かれてきたのは、経験を積んだ縫製オペレーターを雇用する清潔で照明のよい工場です。価格や条件についても工場と交渉してきましたが、最低コストの労働を追求したことはありませんでした。

けれども1996年、ウォールマートが販売するKathie Lee Giffordの衣料品が12歳の子供によって縫製されていることを人権保護団体が暴いたとき、私たちもそれに近いことをしているのではないかという疑問を抱きました。Kathie Lee Giffordが何も知らなかったと言ったとき、私たちはそれを信じました。そのとき私たちも、みずからのサプライチェーンについてはあまり知らなかったからです。私たちの工場は火災防止にどんな手段をとっているのか、またそれが起きたらどう対処するのか・・・私たちは知りませんでした。私たちのような会社が売れ筋製品を再オーダーし、迅速な納品を工場に要求した場合などは、それが良心的な工場であったとしても、従業員は長時間の労働を強要されるのです。

Giffordのスキャンダルを受け、1999年にクリントン大統領が児童労働を終決させ、世界中のアパレル工場の労働環境を改善させるために構成したタスクフォースに招待されたとき、私たちは参加することに同意しました。のちにこのタスクフォースは、構成な賃金と良好な労働条件を推進する独立非営利の監査組織である公正労働協会(FLA)の母体となりました。FLAの職場の行動規範は児童労働、強制労働、暴力、セクハラ/心理的なハラスメント、そして人種差別を禁止しています。また法律で定められた最低賃金あるいは現行賃金のどちらか高い方、残業手当(解決が困難な時間外労働時間の制限つき)、また健全で安全な就労環境と労働組合(中国とベトナムでは違法)に加入する自由を保証しています。パタゴニアは独自の行動規範を有し、私たちが許可しない下請の仕事を禁止し、品質向上計画の維持を要求しています。

工場に最初の発注をする前に、パタゴニアは労働環境を確認するためにソーシャル/エンバイロメンタル・リスポンシビリティのチームを派遣します。このチームのメンバーにはその工場との契約を破棄する権利があります。パタゴニアの品質ディレクターも資材調達部門の新工場を加える決断に同様の拒否権があります。

2000年代初期、パタゴニアはより低コストの労働を求めて工場数を拡張するという拙い決断を下し、一時は100以上の工場と取引をしていました。これは私たちの手に余る数で、もはや取引する多くの人を知らず、工場フロアでの就労状況も把握していない状態でした。

そこで工場の数を1/3ほど減らし、継続してビジネスをする人たちとの関係を強化しました。2007年時点では世界中の108社のサプライヤーと取引していましたが、今日その数字は58%減って45社となりました。減らすことは多くの意味で困難でしたが、そうすることにより工場の就労環境と製品品質に対して責任ある一貫した管理が、はるかに効果的に行えるようになりました。本投稿の執筆時点で、パタゴニア製品は米国を含め、16か国の契約工場で製造しています。

これらの工場が製造する衣類は、費用のかさむやり直しやお客様が購入した店にすぐに返品するような欠損のない高品質のものです。彼らが作っているのは、お客様が他の人に褒めるような製品です。そしてそれはパタゴニアが最も尊重し、また一度失ってしまったら取り返しが困難な、品質面での評判を維持してくれます。これらの工場はつねに品質を向上させています。それには労働生活の品質も含まれています。

パタゴニアは「Made in America(米国製)」の会社であることを宣伝することはできません。なぜならパタゴニアはこれまでずっと、少なくとも半分の製品を米国外で調達してきたからです。しかしアメリカのアパレル産業や国内の高品質な縫製工場が減っていくのにしたがって、私たちがアメリカで作る製品の比率も減ってきました。アメリカのアパレル製造業の多くがもはや存在していません。シアトルの契約工場Cascade、J&E、Down Productsは廃業し、ユタ州のPyke Manufacutringは1994年に倒産、ペンシルバニア州のTennessee ApparelとEverite、サンフランシスコのLinda Apparelもずっと以前に扉を閉めました。アパレル会社にとって、米国でその水準を満たす工場を見つけるのはとても困難です。テキスタイル産業は縮小し、仕事は海外へと渡ってしまいました。

アメリカにおけるテキスタイル産業が縮小したおもな原因は、NAFTA(北米自由貿易協定)、CAFTA(中央アメリカ自由貿易連合)、ATPA(アンデス諸国関税優遇法)、IFTA(イスラエルからの非課税貿易)などの貿易協定です。これらの貿易協定は1994年以来、米国を拠点とするテキスタイルや縫製業界の劇的な後退に直接関係してきました。パタゴニアはNAFTAに反対し、ニューヨーク・タイムス紙をはじめとする国内の他の新聞に広告を掲載しました。私たちはNAFTAが環境水準の劣化を引き起こし、アメリカの労働者が職を失うことを懸念したのです。

この背景についてひとこと:パタゴニアは小さな会社としてはじまりました。それは当時ベンチュラにみずからの機械工場を抱える、さらに小さなクライミング道具の会社から派生したものでした。自社名で日本とヨーロッパでアイスアックスやクランポンを製造していました。当時のクライミングのコミュニティはとても小さく、ほとんどが貧しく、そしてまったく国際的でした。クライマーは格安航空券で旅をし、互いの国で床を借りて寝ていました。だから私たちは皆、アメリカ人というだけではなく、世界人だと考えていました。

今日、売上げの約半分がアメリカ外からのものであるため、もしもここ、アメリカで製造することが可能であったとしても、輸送距離を減らすことによる環境の利点には必ずしもつながりません。しかし地方/地域主義、つまり製品が買われる場所に近い所で製造することは、強力で長期的な環境面での利点であると考えます。パタゴニアが現在の体制を支持する2つの短期的な要因は、膨大な変化が必要となる点と、パタゴニア製品による二酸化炭素排出のフットプリントのうち輸送が占める比率はわずか2%以下という意外な数字です。

そうはいっても、私たちはできるだけアメリカの工場と仕事をします。ロサンゼルスではさまざまなサプライヤーと取引をつづけ、テキサスとノースカロライナにも長期的な関係をもつ工場があります。テキサスで取引している工場は身体障害者を雇用しており、それは彼らと仕事をする理由のひとつとなっています。パタゴニアの新しいフィッシング用クランポンは、カリフォルニア州ベンチュラ本社に近い場所で製造されています。私たちは「Made in America」の会社ではないと言いましたが、私たちは自国で仕事が見つからない人たちの苦しみを心配していないわけではありません。アメリカのサプライヤーを見つければ、取引の可能性を探ります。

次の大きな課題は、パタゴニア製品を作るすべての労働者のために生活賃金を取りつけることです。生活賃金を支給するためには、工場は収入の損失を防ぎ、労働者の解雇を避けるためには、価格を上げなければなりません。工場は複数のブランドの似たような仕事には同じ賃金を払うので、そうしたブランドがより高い額を支払うことに同意しなければなりません(これは価格協定という法的責任に会社をさらす恐れのある繊細なステップです)。

パタゴニアは現在FLAと共同で、生活賃金を払うための段階的アプローチに取り組んでいます。けれども独自の取り組みも行っています。私たちは各工場で生活賃金に近い金額を交渉するため、調達する各国における最低賃金と現行賃金の追跡をはじめました。みずからの労働慣行を検証し、パタゴニアのウェアがデザインから配送にいたるまでどのような影響を与えているかを誰にでも追跡してもらえるフットプリント・クロニクルという透明な方法に着手していなければ、生活賃金を支払うために努力することを決断しなかったかもしれません。

サプライチェーンの社会的環境の向上のため、FLAがパタゴニアの重要なパートナーであるのと同じように、独立認証機関であるブルーサイン・テクノロジーズは、環境への悪影響を最小限に抑えるための仕事にとって最も重要なパートナーです。ブルーサインは環境パフォーマンスを向上する管理システムの設定に関し、製造工程における資源の生産性、消費者の安全性、排水、大気放出、職場環境といった主要5項目について、同意する加盟企業の定期的監査を行います。その後はメンバーとしての資格を維持するため、中間報告を提出しながら改善目標を達成しなければなりません。また原料を検査し、使用に適した化学薬品には青、特別な取り扱いを要する薬品にはグレー、使用が禁じられている化学薬品には黒をつけるという、化学薬品のスクリーニングのための系統的なサポートはとくに重要です。ブルーサイン・テクノロジーズは工場が黒ラベルの薬品を排除し、代替薬品を探す手助けをします。

ブルーサイン水準は厳しいものですが、パタゴニアのサプライヤーのうち9社が加盟しました。現在パタゴニア製品に使われる素材のうち、30%がブルーサイン認証済みです。私たちは原材料のサプライヤー全社に対し、2015年までにブルーサイン水準を採用するよう依頼しました。

フットプリント・クロニクルはパタゴニアが品質だけでなく、社会的/環境的状況を改善するために境界を取り除く手助けをしてくれました。フットプリント・クロニクルはサプライヤーと私たちの両方を教育し、その結果私たちは現状維持ではなく、より良い選択をするようになりました。これによって私たちの仕事もさらに意義のあるものとなりました。私たちはただウェアを作るだけでなく、悪影響を抑えながらより長持ちするウェアを作っているからです。

リンク:
公正労働協会(FLA)は複数の利害関係者からなる独立した認証とトレーニング機関
パタゴニアの企業の責任
フットプリント・クロニクル(新しいバージョンが近日登場します)
・イヴォン・シュイナードとヴィンセント・スタンリーによる共著『The Responsible Company』(英語版は近日発売。日本語版の発売については決まり次第、クリーネストラインなどでお知らせしていきます)
・環境への悪影響を最小限に抑えるための独立認証会社ブルーサイン・テクノロジーズ
・本テーマについての過去の投稿:Your Thoughts on the Footprint Chornicles—Why don’t you make more of your goods in the U.S.A.(フットプリント・クロニクルについてのお客様からのご意見:アメリカでもっと多くの製造をすべきでは?)(英語)

コモンスレッズ・イニシアティブ:パタゴニアと同規模のアパレル会社でオーガニックまたはリサイクル素材の使用、および新しい製品を作るために使い古したものを返却できる製品の割合に近づける会社は他にないと自負しています。

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