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ウィ・アー・ファミリー…。ケリー・コーデス、ケイト・ラザフォード、スティーブ・ハウス、リン・ヒル、イヴォン・シュイナード、ブリッタニー・グリフィス、ティミー・オニール。Photo: Lee Pruitt
ウィ・アー・ファミリー…。ケリー・コーデス、ケイト・ラザフォード、スティーブ・ハウス、リン・ヒル、イヴォン・シュイナード、ブリッタニー・グリフィス、ティミー・オニール。Photo: Lee Pruitt

部屋を結ぶもの:イヴォン・シュイナードをフィーチャーした2014年度アメリカン・アルパイン・クラブの年次募金興行

By ケリー・コーデス   |   2014/03/03 2014年3月3日
ウィ・アー・ファミリー…。ケリー・コーデス、ケイト・ラザフォード、スティーブ・ハウス、リン・ヒル、イヴォン・シュイナード、ブリッタニー・グリフィス、ティミー・オニール。Photo: Lee Pruitt
ウィ・アー・ファミリー…。ケリー・コーデス、ケイト・ラザフォード、スティーブ・ハウス、リン・ヒル、イヴォン・シュイナード、ブリッタニー・グリフィス、ティミー・オニール。Photo: Lee Pruitt

「何てこった」 僕は独りつぶやいた。「ネクタイがたくさんいる」 そして優雅なドレスも…。

僕は最近、アメリカン・アルパイン・クラブが毎年主催する慈善夕食会に参加した。でも僕のような貧乏人が借りもののネクタイを締めて、上等な募金集めのイベントのVIP席で何をしていたのかって思うだろ。

いや、たまたまコネのある人を知っている人を知っていただけ…。種明かしをすると、このイベントのタイトル・スポンサーはパタゴニアで、イヴォン・シュイナードが基調講演をし、夕食会が開かれたのはエステス・パークにある僕のキャビンから1時間半のデンバーだったというわけさ。

僕は服の選択に悩んだ。そしてひとりの人間として、ジーンズとTシャツを選択することにした。だって外見なんかはどうでもいいだろう。でも文化的常識というものもあり、その常識がどれだけ馬鹿げたものであったとしても、誰かを侮辱するようなこともしたくはなかった。

僕はネクタイが大嫌いだ。ナイスなシャツはよい。どっちみちシャツは着るんだから(美しい肉体を見せびらかしたいクライマー男でなければの話だが。その場合はビーニーがシャツ代わり)。パンツだってどっちみち履かなきゃならない(知っているかどうか分からないけど、パンツなしだと逮捕される可能性もあるのだ)。でもネクタイは、世界中でいちばんバカバカしい服装だ。でも僕はなぜかボウタイには弱い。理由は分からないけど。

いずれにしても、僕のような男はタダ飯を逃すことはめったになく、オークションでは絶対に頭を掻いちゃいけないぐらいの常識はある。アメリカン・アルパイン・クラブ(AAC)の夕食会で気付いたことをいくつか記すと:

・数年前、AACはこの上等な夕食会を週末中に行われる他のイベントから切りはなすという賢い選択をした。いくつかのイベントはもっと解放されていて、若い年代層にうけたけど、この上等な夕食会は募金集めのためと、旧友と再会するためのもの。誰でも年を取るし、僕らが本当にもっているものといえば、想い出だけだからね。

・友人のジャネット・ウィルキンソンがAACの取締役会の新メンバーとして紹介された。これは素晴らしいことだ。彼女は正真正銘のクライマーで、賢く、年は他の役員の約半分というだけでなく、僕にもそのご利益がすぐにあったからだ。彼女に同行した夫で僕の友人のフレディー(AACの文学賞の受賞者)がぐうぜんにも余分のボウタイを持っていたのだ。しめたぞ!

ボウタイを締めるケリーとフレディー。Photo: Janet Wilkinson
ボウタイを締めるケリーとフレディー。Photo: Janet Wilkinson

・註釈:ときとして、AACの夕食会に参加すべきかどうかについてアクティブな若いクライマーに尋ねられることがある。(僕は12年間『アメリカン・アルパイン・ジャーナル』誌の編集者の1人として務めたし、年次夕食会にも仕事の一貫として2度出席した)。答えは絶対にノーだ。なけなしのお金をクライミングに使っているなら、そっちをつづけるべきだ。年をとって愛するものにお返しができる幸運な立場にいたら、そのときに出席すればいい。でもまずは、想い出を作るのが先。

・「エクストラ・ファクター:クライミングの女性パイオニアたち」と題された土曜日の公開討論会での最高のコメントはメリッサ・アーノットによるもの。「クライマー」と「女性クライマー」を区別する必要性が薄れるなか、達成したことや潜在的可能性、そしてやる気について議論する際に、未だに飽き飽きさせられる質問が残る。子育てについて尋ねられたとき、アーノットはこの質問は男性のパネリストにはされないでしょうと鋭く指摘した。

・彼の世代で最高の、そして歴代でも最高の1人であるアメリカ人アルピニストのスティーブ・ハウスが、生涯にわたる功績を讃えるアンダーヒル賞を受賞した。彼の信じられないような業績のリストは自明の理であり、これ以上何も付け加える必要はない。ところで彼がスコット・ジョンソンと共著で新しい本を出したことを知っているよね。『Training for the New Alpinism: A manual for the climber as athlete(新アルピニズムのためのトレーニング:アスリートとしてのクライマーのためのマニュアル)』はきっと現代のアルピニストのためのバイブル本となるだろう。そしてもちろん、2009年ブロードマン・タスカー賞と2009年バンフ・マウンテン・ブック賞岳文学賞を受賞した『垂壁のかなたへ』も。

生涯にわたる功績を讃えるアンダーヒル賞を受け取るスティーブ・ハウス。Photo: Liz Cunningham
生涯にわたる功績を讃えるアンダーヒル賞を受け取るスティーブ・ハウス。Photo: Liz Cunningham

・ジム・バログがブラウワー環境賞を受賞した。「Extreme Ice Survey」と彼の非営利団体〈Earth Vision Trust〉の素晴らしい活動を讃えたものだ。彼の仕事は急速に減少する氷河を決定的に記録するだけでなく、彼はまた政策と教育を前進させることによってその対策を試みてもいる。(洞窟に住む原始人でなければこの問題は十分に「認識」しているだろう。地球温暖化の認識を高めるためにクライミング遠征をクラウドファンディングしている人、ご注意…)

・クライミングジムから生まれる新興クライマーを支持するため、「守旧派」は屋外から野外へ移行するクライマーを教育する新しいAACのプログラムのために多額の募金を集めた。これは毎年のふんだんな事故報告により深く認識させられるもうひとつの問題だ。AACは立派にもこの問題への対策を講じている。

・メインイベントとして、イヴォンはヨセミテの黄金時代を含む彼の若いころからの進化について、写真を交えながら講演をした。ジョークや誠実さ、正直かつ過去を重んじながらも、それに捕われず将来を見据えた魂という彼ならではのスタイルで、イヴォンは600人の聴衆を夢中にさせた。これは僕がイヴォンをはじめとする守旧派のなかでも最高の人たちを愛する理由だ。つまりそれは保つ価値のあるものは保ち、残りは捨て去るという彼らの姿勢なのだ。

その夜の基調講演をするイヴォン・シュイナード。「ヨセミテ:僕らの開拓精神」Photo: Lee Pruitt
その夜の基調講演をするイヴォン・シュイナード。「ヨセミテ:僕らの開拓精神」Photo: Lee Pruitt

この週末からの写真を何枚かお見せしよう:

コロラド州ゴールデンにあるアーストレック・ジムでの金曜の夜のイベント。Photo: Liz Cunningham
コロラド州ゴールデンにあるアーストレック・ジムでの金曜の夜のイベント。Photo: Liz Cunningham
ブリッタニー・グリフィス、リン・ヒルと談笑するセレブ・クライミング・コンペの司会者、ティミー・オニール。写真:Lee Pruitt
ブリッタニー・グリフィス、リン・ヒルと談笑するセレブ・クライミング・コンペの司会者、ティミー・オニール。写真:Lee Pruitt
女性部門で2位となり、聴衆から拍手喝采を受けるリン・ヒル。Photo: Jenna Johnson
女性部門で2位となり、聴衆から拍手喝采を受けるリン・ヒル。Photo: Jenna Johnson
ジェレミー・コリンズとジェナ・ジョンソンの美しい瞬間をフォトボムする例のボウタイ男。Photo: Jeremy Collins Collection
ジェレミー・コリンズとジェナ・ジョンソンの美しい瞬間をフォトボムする例のボウタイ男。Photo: Jeremy Collins Collection
『Training for New Alpinism』の著者、スティーブ・ハウスとスコット・ジョンソン。Photo: Jimmy Hopper
『Training for New Alpinism』の著者、スティーブ・ハウスとスコット・ジョンソン。Photo: Jimmy Hopper
ティミー・オニールと過度なまでに軽装のジミー・ホッパー。Photo: Jimmy Hopper Collection
ティミー・オニールと過度なまでに軽装のジミー・ホッパー。Photo: Jimmy Hopper Collection
夕食会のゲストのためにシュイナード・イクイップメント製のアイスアックスにサインするイヴォン。Photo: Jeremy Collins
夕食会のゲストのためにシュイナード・イクイップメント製のアイスアックスにサインするイヴォン。Photo: Jeremy Collins

考えてみれば、年を取るにつれて、若い世代が僕らの最高点を超えて前進していくのを見ることほど光栄なことはない。すべてはすべてに基づいているのだから。AACの募金集めの夕食会の無言の目標は、この前進を可能にさせることかもしれない。

それでもネクタイはバカだと思うが、首のまわりに結ぶものなどどうでもいい。この部屋を結ぶもの、それはクライミングへの愛だ。

ケリー・コーデスは、マルガリータを作ること、外でなるべく多くの時間を過ごすこと、そしてアルパインスタイルのルートを登ることを得意とする。クリーネストラインとフィルターなしの自己のブログの定期的投稿者。

このイベントとイヴォンの講演についての情報:

When Climbing Was Dangerous and Sex Was Safe(クライミングが危険でセックスが安全だったとき)」by ジョン・ヘルプリン、AAC

Sharma to Chouinard in a Weekend(シャーマからシュイナードまでの週末)」 by アリソン・オシウス、Rock &Ice誌

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