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父のジェリー、息子のローガンとともに、一家三代でオーガニック業をつづけてきた土地に立つアーロン・ヴォグラー。テキサス北西のハイ・プレインズ Photo:GilesClement
父のジェリー、息子のローガンとともに、一家三代でオーガニック業をつづけてきた土地に立つアーロン・ヴォグラー。テキサス北西のハイ・プレインズ Photo:GilesClement

いまなお「スモールイズビューティフル」

By レイチェル・G・クラーク   |   2021/07/09 2021年7月9日

アーロン・ヴォグラーは 家を継ぐことを望んでいなかった。「ほかの子どもたちが夏にする仕事に比べて、畑での作業はずっと大変でした」現在34歳の彼はそう静かに語る。「でも両親や姉と一緒に外で働いたのは、いい経験だったみたいです。辛さを共有したという点で」2000年、アーロンは三代つづく農場を離れ、金融機関での職を目指して大学に進学した。しかし自分でも驚いたことに、2004年に実家に戻り、それ以来農場から離れていない。「あとで辞めればいいやと思ったんです。でも結局まだここにいるわけですが」と肩をすくめる。「あるとき、覚えていたほど悪くはないもんだと気づいたんです」
テキサス北西部のハイ・プレインズでは、ときおり大雨に見舞われる暑い夏が長くつづいたあと、乾燥した短い冬が訪れる。しかしこれらはまさにコットン栽培に最適な気候であり、この極端な気候はここで働く人びとをたくましく、謙虚で物静かにさせるようでもある。両親のジェリーとダーリーン・ヴォグラーも、息子が戻ってきことに本人と同じくらい驚いたが、同時に安堵した。「アーロンが農業を継がなかったらいったいどうなっていたかと、しょっちゅう頭をよぎります。大半の農家は、私たちのような栽培方法を実践する態勢を整えていないからです」とダーリーンは言う。

ヴォグラー家の農場では、1990年代初頭からオーガニックコットンを生産している。Photo:GilesClement
ヴォグラー家の農場では、1990年代初頭からオーガニックコットンを生産している。Photo:GilesClement

パタゴニアがはじめてオーガニックコットンのみの使用に切り替えた時期でもある1990年代はじめ、ヴォグラー家は少数のオーガニック農家とともに「テキサス・オーガニックコットン・マーケティング・コープ(TOCMC)」という小さな協同組合の創設に携わった。規模は小さいものの複数の農家が協力し合い、年間3,000~10,000ベールのオーガニックコットンを生産してきた。2021年現在所属するのは35件、7,000ヘクタール弱から8,000ヘクタール強まで、さまざまな規模の農地を所有する家族経営農家だ。アメリカの「コットン・ベルト(綿花地帯)」にある近隣農場のほとんどがいまも従来の方法でコットンを栽培する一方で、会員農家は全米のコットン生産量の1%以下に過ぎないオーガニックコットンの生産を支援する。「私たちは、大きな池の小さな魚でしかありません」とダーリーンは言う。
化学合成農薬を使用する従来のコットン栽培は、その土地で働く人たちに害を及ぼし、土壌を劣化させ、表土の喪失を招く。一方、オーガニックコットン栽培は自然に逆らうのではなく自然と調和する方法を目指し、鍬を使った耕作などの伝統的な農法を実践する。有害な化学物質を回避することが動機となり、オーガニック栽培に切り替える農家もあるが、経済的安定の保証も大きな理由である。いったん認証を受けると、農家は作物を高額で売ることができるからだ。「ある時点で従来の栽培方法では割に合わなくなり、コットン生産者が別の方法に目を向けてくれるといいのですが」とアーロンは言う。
オーガニックコットンの生産量を1%以上にするには、まだまだ困難がある。変化は需要からはじまる、とヴォルガー家は口をそろえて言う。もっと多くの消費者がオーガニックコットンの購入を望み、購入できる経済的な余裕があれば、もっと多くの農家がオーガニック栽培に移行するだろう。「オーガニック製品に少し高い金額を払う人は、より大きな善のために小さな犠牲を払っているのです。私たちも同じです」とダーリーンは言う。「一般的な農家のような大規模な農地ではありませんが、いま、うちにはオーガニック栽培を実践する経済的余裕があり、この方法には犠牲を払う価値があります。なぜなら私たちはオーガニック栽培を好み、こういう世の中で暮らすことを望んでいるからです」
「たいてい毎日、その日の終わりには、何かいいことをしたという実感があります」とアーロンは言う。「ここでの生活には汚染がないからです。作物と土壌が健康で、虫が安全に生息でき、すべてが協力しあって共生しているのを目にする。それはいいものです。いい生き方です」

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