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バン・トリップ中のブリッタニー・リーヴィット。カリフォルニア州ビショップ Photo: Brittany Leavitt Collection
バン・トリップ中のブリッタニー・リーヴィット。カリフォルニア州ビショップ Photo: Brittany Leavitt Collection

見知らぬ場所へのロードトリップ

By ブリッタニー・リーヴィット   |   2021/06/30 2021年6月30日

クライミングはこの10年間に急速に広まったスポーツだ。クライマーのドキュメンタリー映画がアカデミー賞を受賞し、屋内クライミング・ジムがオープンし、2020年のオリンピックは、開催されていればクライミングを大きく取り上げただろう。しかし、サブリナ・チャップマンの名を聞いたことがあるだろうか。黒人女性として初めてレベル5.14を登攀しようとしているクライマーだ。ではラクパ・シェルパは?彼女はエベレストに女性クライマーとして世界最多の9回登っている。「そんな女性たちは知らない」と思っている方は、ぜひこの記事を読んでほしい。

あまり世間に知られていないことと言えば、ここにもいくつかのデータがある。2019年にアメリカ山岳会(AAC)が公表したクライミングの現状を伝える初めてのレポートだ。このレポートは米国クライミング界全般を検証し、政治との関係、事故、クライマーを自称する人々、そうした人々の賃金などを分析している。データのいくつかは驚くに当たらないものだった。クライマーを自称する人々は、AACメンバーを除き、58%が男性、女性も41%と大差がない。性別を表明しなかった人々は約1%だ。この数値は(確かに若干の進歩はあったが)平等参画という点で、まだやるべきことがたくさんあることを示している。例えば、クライミング人口に占める比率が最も低いのは、黒人と先住民族で約1%。その他のマイノリティでは、比率がわずかに上昇し、ラテン系が約5%、アジア・パシフィック系が約7%である。そして明らかに白人とされるクライマーは82%を占めている。さらにクライミングをする人々の平均年収は5万ドル以上である。これらの数値の何がそれほど重要なのか。それはクライマーである私にとっては、誰がクライミングの体験や知識にアクセスできるのか、さらにどのような人々がこのスポーツを実際に生活費でまかなえているのか、ということを示すものです。

私自身は5万ドルも稼いでいない。黒人女性である私は、クライミング界では最も低い立場にいる。アウトドア・インストラクター、アドボケイト、早期教育者として何とかやっているが、それでもクライマー兼アウトドア愛好者としてこれらの特権・経験を勝ち取るために苦労している。

しかし、自由に出かけて国中を旅行し、クライミングをし、この国の土地や人々との深いつながりを見つけることは、ずっと個人的な夢だった。仕事を2週間近く休むのは容易ではないが、何とかしようと決めた。そして休暇を利用し、旅に出ることにした。単に各地を旅行し、国立公園を散策するという当初の計画は、それ以上のものに変わった。どのような人々が旅をし、クライミングを行い、山河や大地とつながることができるかという問題をもっと探求したかった。BIPOC(黒人・先住民・有色人種)を自認する女性や、私同様クライミングに関わり、熱中する女性と出会いたかった。ソーシャルメディアで呼びかけると5人が応じてきた。私を信頼し、自分の言葉で語ろうとする4人の見知らぬ女性と1人の親しい友人だ。

その旅はサンフランシスコから始まり、そこで旅の間の「生活空間」をピックアップした。エスケープの全天候・全地形対応のバンを選んだ。色々な場所でキャンプができるし、燃費もいい。私は計画したルートに沿ってワショー族の土地(タホ湖)を巡り、タホ国有林を走り抜けた。公園は美しく、最近の降雪で白い毛布をかぶっていた。私は「流水の地」を意味するPayahuunaduで最初の休憩を取ることにした。ビショップもしくは東シエラとも呼ばれる場所だ。それから数日間をクライミングに費やし、出発前に連絡を取っておいたクライマーのうち3人と合流した。吹雪のためバターミルクスでのクライミングは叶わなかったが、クリスマスイブにただ雰囲気に浸るために同地を訪れることに決めた。最初にバンを降りた時、なじみのない甘い匂いが漂っていた。後で分かったが、それはラビットブラッシュという植物の香りだった。雲が晴れると、ベースン山の頂上が見えた。深呼吸し、確かな平和を感じた。町に戻り、オーウェンスバレー・パイユート・ショショーニ文化センターに立ち寄った。クライマーとしてこの領域の保護を支援したいなら、単に岩に気を遣ったり、現地の岩山の清掃に参加したりする以上のことを考えるのは基本だ。自分たちが影響を及ぼすエリアを知り、そしてそれらの山岳地帯と今も深くつながっているのは誰かを理解するためにも、時間を割かなければならないのである。

クリスマス当日、目覚めると気温はマイナス6度だったが、ついに岩場に出られることに興奮した。バターミルクスはまだ雪に覆われていたが、インタビューに応じてくれるクライマーの一人、ダニエルと連絡が付いた。私たちは、ボルカニック・テーブルランズにあるザ・ハッピーズ・アンド・ザ・サッズというボルダリング・エリアに向かった。

はじめての岩場を探求するときは、登るグレードについては無理をせず、代わりに自分が興味をそそられるスタイルにこだわるようにしている。クライミングの旅に出ると、初日は岩場に取り付いたり、飛び降りたりして、その付近の岩やスタイルを学習する。そして2日目にもう1度登りたいルートに没頭する。ダニエルと私は、もうひとりのクライマー、フミエの到着を待ちながら午前中の遅い時間に軽食を取り、コーヒーを淹れた。私たちはクライマーやインストラクターとしての個人的な経験を語り合った。ダニエルはノースカロライナ州のアウトワード・バウンド協会で働いている。待っている間、景色を眺めていた。雪に覆われた山頂を背景に牛があちこち歩き回っている。まるでアウトドア雑誌の写真を見ているみたいに非現実的な感覚だった。フミエが到着してから、みんなで渓谷に向かい、そこでさまざまな火山岩の質感に触れることができた。そこはハイボールあり、ルーフあり、トラバースありの岩場だった。すっかり圧倒され、どこから取り付いてよいか分からない。私はヘブンリー・パスという名の巨岩の前で立ち止まった。その岩にはセレスティアル・トレイル(V0-、PG-13)と呼ばれる7.5メートルほどのぬかるんだルートがある。高さに惹かれたのか、それともこの岩の形状のせいか分からないが、試さずにはいられなかった。それは格別に楽しい瞬間だった。

フミエとのボルダリング。Photo: Brittany Leavitt
フミエとのボルダリング。Photo: Brittany Leavitt
ザ・ハッピーズのダニエル。Photo: Brittany Leavitt
ザ・ハッピーズのダニエル。Photo: Brittany Leavitt

数時間のクライミングの後、私たち3人は、シエラとホワイト山地を両サイドに眺めながら、渓谷の縁までハイキングした。野外にいる、ただそれだけのことが言いようのない幸福感をもたらす。初めての景色であればその幸福感は10倍に膨らむ。来るべくして来たという気がした。そこは私たちが想いを解放できる空間だった。クライマーとしてこのスポーツのどこが好きかを、有色人種の女性として私たちが処理しているフラストレーションを、将来どうなって欲しいかを表明できる雰囲気をみんなで作った。その後しばらく、ただ座って風の音を聞いた。その週の残る数日間の過ごし方が決まった瞬間だった。

翌日、さらにもうひとりのクライマー、オードリーと同じことを体験した。彼女が来るのを待つ間、私はヘブンリー・パスの巨岩を再訪し、前回とは別のハイボールの難所に挑んだが、1発目はおろか2回やっても結局フィニッシュできなかった。待ちながら、この空間で実際に自分が驚くほど安心していることをずっと考えていた。旅に出る前、安全な計画を立てる必要性がどれほど高いかについて自分を煽り続けた。問題に遭遇したり、こんなところで何をしていると聞かれたりしないか心配だった。あるいはあの一番苦手な、遠回しな質問――クライミングをやる?あなたが?――さいわい、そんなことは起きなかった。実際、山岳地帯をドライブしながら、バンが故障しても大丈夫と思えることは気楽だった。もしバンが故障しても助けを求めることができるかもしれない。自分が明らかに歓迎されていないと分かる標識のある地域をドライブせずに済んだのは、よかった。今回だけだったとしてもね。私にとってそれは南部連合の戦旗やトランプのポスターだ。バージニア州やウエストバージニア州の山岳地帯や、仕事でワシントンD.C.に行くと決まって見かける。ビショップはひとりでドライブするのに安全で小さな町に感じられた。

オードリーとのクライミング。Photo: Brittany Leavitt
オードリーとのクライミング。Photo: Brittany Leavitt

ビショップでの最後のインタビューを終え、旅を再開した。次の目的地はラスベガス。途中で寄り道できるように1日余裕をみることにした。午前中に最初に立ち寄ったのはマンザナール国定史跡。第二次世界大戦中12万人以上の日系アメリカ人が収容された国内10か所の強制収容所の1つだ。南パイユート族の土地であるカリフォルニア州アラバマヒルズにも寄った。親切な友人がモビアスアーチ・ループトレイルのハイキングをすすめてくれた。不思議な形をした岩層と山に囲まれ、ホイットニー山を望む場所だ。終日そこで過ごしたかったのだが、次第に居心地が悪くなってきた。空気が歓迎から「どうしてここにいるの?」に変わったからだ。写真を撮ったり、圧巻の景色を眺めたりして、くつろごうと努めた。どの山々も薄っすらと雪で覆われている。しかし、そうした時間も思うように長くは続かず、私はドライブを再開することにした。

旅の第2行程では、デスバレー国立公園の曲がりくねった道をドライブした。荘厳な岩層を過ぎたり、車の中でカラオケをしたりして、ついにラスベガスに到着した。翌2日間をクライミングに費やしたかったのだが、私の身体はそれどころではなかった。私は熱を出してしまい、ホテルに行くことにした。結局はその夜、レッドロック渓谷に大雪が降ったのでラッキーだった。おまけにラスベガスの寒冷前線に出くわしたせいで、岩はすぐには乾かなかった。それでもそこで予定していたタオとダシェルというクライマーに会うことにした。ダシェルは地元民なので、この付近で自分が知っている乾いた岩場のベータを教えてくれたが、何はともあれレッドロック渓谷に行き、見てみようということになった。

公園に着くと多くの人々が濡れた砂岩を登っていた。ほとんどは州外からの訪問者だ。有色人種の女性である私たちは、登ろうとしても、おそらく呼び止められ、何をしているか分かっているかと言われ、恥をかかされることになるとみんなの意見が一致した。代わりに、私たちは数人のクライマーに、気温が低いから岩がまだ湿っていますよと声をかけたが、一瞥され、肩をすくめられただけだった。私たちは美しい岩の形を眺めた後、ローン山に向かった。日没までの残り少ない時間をサバーバン岩稜で過ごし、みんなでエリックスアレート・ルートを登った。お気に入りの歌を聞いているような気分だった。野外でボルダリングをやればやるほど、私はスポーツ・クライミングが好きになる。

難所を登るタオ。Photo: Brittany Leavitt
難所を登るタオ。Photo: Brittany Leavitt
ビレイ中のダシェル。Photo: Brittany Leavitt
ビレイ中のダシェル。Photo: Brittany Leavitt

旅の終わりが近づくにつれて、たくさんの感情に支配された。たぶん、終わりが近づいていることが分かっていたからか、あるいは私たちが互いに醸し出す力強い空気感のせいだったのだろう。クライミングを共にしたこの人たちとの間には、それぞれに会った瞬間から自然と信頼の空間があった。それはクライミングの世界で自分が耐えているものを共有しようとする5人の他人同士が、自分自身になれる場所だった。

これが私の目的だった。女性が正直になり、葛藤から逃げなくてよいと感じられる場所を作りたかったのだ。黒人女性にクライミング界における自分自身に目を向けてほしかった。旅の途中、個人的な問題や些細なことで挫折したものの、750キロ以上をドライブし、3か所でクライミングをやり、史跡・州立公園・国立公園を訪れることができ、良い機会だった。ほんの短期間バンで車上生活をしたが、それは刺激的で、そしてちょっと怖かった。クライミングをフルタイムの職業とせず、スポンサーもいないが、2~13年にわたり熱心にクライミングを続けている女性たちに会うことができた。この旅で私はクライミングへの自分の愛情を回復し、再認識することができた。私がクライミングをするのは、身体とつながり、心を鍛えるため、そして野外で過ごし、人々とつながるためだ。

私には、インタビューで各自にたずねたい次の質問があった。
「クライミングの他に熱中していることは何?あなたはクライミングにどのように関わっているの?」
「クライミング中にどんなフラストレーションを感じたり、対処したりする?」
「あなた自身やクライミング界にとって、クライミングの将来はどうなると思う?」

以下で彼女たちの回答をみていくが、まずは私から。

1. クライミング以外で夢中になっていることや、クライミングとの関わり:私は教育者であり、アウトドア・インストラクター。好きなものはアート、美術館、映画、音楽、ローラースケート、読書、写真を撮ること。10年以上前に友人を通じてクライミングを知り、2014年にクライミングを始めて以来、このスポーツを愛さずにはいられなくなった。経済的理由や嫌な経験があって、仕方なくクライミングから離れたことが何度かあったが、でも自分自身を発見させてくれたこのスポーツを、何にもだれにも邪魔させまいと決めた。クライミングで自分が何を考え、どのように感じるかが好きだ。そして人々に基礎を教えることが好き。学ぶことも好き。クライミングとは、永遠に何か新しいことを学べるスポーツだ。

2. クライミング中に感じるフラストレーション:登りに行く土地の自然保護に関しては、会話の中に重要な声が隠されていることが多い。私たちは、自分たちの楽しみのために岩山を守ることを気にしがちで、先住民社会のためにこうした土地を守り、保護できる方法をあまり考えようとしない。私がクライミング中に感じるフラストレーションは、つい自分を抑えてしまうことだ。自分がここで発言するのは場違いな気がしたり、既成の固定観念を変える役に立てるなら、じっと聞いていようと思うことが多い。こういう潜在的な白人至上主義はいまだに存在する。旅行を計画する際、私たちの多くは、人種差別主義者や、ルートや難所の同性愛嫌悪的な名称に耐えなければならない。自分らの痛みが初登攀のネーミングについてのだれかのジョークのネタになるという事実に、私たちは今も遭遇し、吸収している。自分の価値を証明しなければこちらを見てもらえないことに、黒人女性として憤りを感じる。クライミングにおける私のフラストレーションとは、ここでこうして功績を挙げているのに、私たち黒人がクライミングの世界で成し遂げた進歩を認められていないことだ。黒人は数十年も前からクライミングをしてきた。

3. クライミングの将来について思うこと:クライマーであるためにダートバッグなライフスタイルをする必要はないことを分かってもらいたい。パン屋、美容師、技術関連の人、アプリ開発者、インストラクター、教育者など、さまざまな職業に就くことができるし、野外だけでなく屋内であっても、クライミングにつながる価値や情熱を見いだせる。私たちが実際に時間をかけているのは、知識を広めたいから、そしてジムから野外へ移行しようとする人たちに教えたいからだ。警察にならず、教育することを学ぶ。つまり、新人クライマーに地元のクライミング連盟を紹介したり、エリアによっては用を足すのに穴を掘るよりも、携帯トイレを使用すべき理由を説明したりする。自分たちがだれの土地でクライミングをしているかを学び、伝えることに時間をかけたい。そして、これは私がどの人にも言う最も重要なこと――だれもみな、ある時期ある場所で、クライミング初心者だった。

クライミング界から多くの声が寄せられることを願う。今もアウトドア界には壁や人種差別があるため、人々がこの問題を理解してくれるといいと思う。冒険や達成の物語を聞きたい。アウトドア雑誌の表紙で私たちの顔を見たい。アウトドア・ブランドの役職に就いてギアやマーケティングの方向性や生産について意見を言いたい。私たちの声は次第に大きくなり、人々が気付き始めている。この勢いをずっと維持していきたい。

Photo: Brittany Leavitt
Photo: Brittany Leavitt

タオ

クライミングの他に熱中していることは何?あなたはクライミングにどのように関わっているの?

私はベトナム系アメリカ人、カリフォルニアのベイエリアに住んでいるわ。性別は女性。クライミングの旅の資金を稼ぐためにApollo GraphQLでソリューション・エンジニアとして働いているの。サンフランシスコのミッションクリフでトレーニングしているわ。クライミング以外で大事なことは、パドルボード、スノーボード、愛犬アセナとのハイキング。野外でのレクリエーションに夢中なの。シエラと太平洋の間を行き来する「週末戦士」(週末だけスポーツをする人)の典型ね。

クライミングを知ったのは、ジョージア州アトランタでEl Barのショーを友だちと見に行った時よ。イギリス人の変わった女の子に出会って、その子は自分と似た冒険仲間を見つけて大喜びして、私をアトランタのストーンサミットのクライミング教室に誘ってくれたの。付き合いは次第に薄れていったけど、その経験がロック・クライミングの情熱に火を付けたのよ。

1年目に、フォスター・フォールズからレッドリバー・ゴルジュまで、アメリカ南東部全域を登ったわ。クライミング歴は10年よ。

クライミング中にどんなフラストレーションを感じたり、対処したりする?

クライミング界での私のフラストレーションは、環境の扱い方に関すること。このスポーツの人気が高まり、今ではクライミング・エリアの交通量がすごく増えて公害が発生している。環境の劣化もそう。それに濡れた岩を登ったり、文化的な歴史を無視したり、地域社会を軽視している人が多い。

自分たちが登る土地を理解することに十分な時間を割いていない。地名を復活し、私たちが来るずっと以前から住んでいた先住民の社会を信頼しようという大きな動きがあることは知っているわ。でもそれだけじゃだめ。先住民の土地のために税金を拠出し、保護運動に協力し、保護デーに貢献する必要があるわ。まず地元のクライミング連盟に加入するのも良い方法ね。

個人的には、仕事とクライミングの両立に苦労している。このスポーツが大好きよ。週に50~60時間働く一方で、週に20時間ジムや野外でクライミングもしている。よく自問するのよ。「どうやったら上手くいくだろう?年を取りたくない」と。

このインタビューの間、私たちの目の前で、あるグループが濡れた砂岩を登っていた。天候により使用できない時、エリアへの配慮はどうあるべきかをタオは次のように語っている。

あれは環境を大切にしない、愛するものを守らないロック・クライマーの最たる例ね。しばしば、人々は自由奔放に旅し、ただ休暇を過ごすだけで、自分たちが環境に与える影響を考えていない。

あなた自身やクライミング界にとって、クライミングの将来はどうなると思う?

私は、今年の目標を達成したいと願っているわ。それは50~75日間、野外でクライミングをすること、スポーツ・クライミングで難易度5.11を維持すること、そして自分初のトラッド・クライミングをリードすることよ。クライミング界については、包括的で、気候のことを一番に考えるさまざまなクライマーたちが、環境やホームグラウンドの岩場、互いを守るために協力するようになると予想するわ。

Photo: Brittany Leavitt
Photo: Brittany Leavitt

フミエ

クライミングの他に熱中していることは何?あなたはクライミングにどのように関わっているの?

こんにちは、私はフミエ。性別は女性よ。途中でかなりのブランクはあったけど、クライミング歴は約13年になる。読書やダンスパーティーが好き。最近チェスも覚えたわ。あとドーナツも好き。パン屋で働いているの。ちょっとカッコいいでしょ。クライミングはこの10年間で私が最も長く続けていることよ。完全な人間になったみたいに感じることの1つなの。クライミングというスポーツの中では、トラッド・クライミングがなんといっても最高の幸せ。ギアを差し込むのが本当に好きなの。セカンドを持ち上げるのは楽しいし、後から登るのも、たぶん、楽しいわね。クライミングを始めてから、その人気が次第に高まり、爆発的に広まるのを見るのはおもしろかったわ。

クライミング中にどんなフラストレーションを感じたり、対処したりする?

利用しやすさと多様性。クライマーである私たちにとって自分の一部であり、心から愛着を感じるこうした空間は(BIPOCやクィア[性的マイノリティ全般]にとって)本当に安全?そしてだれもがアクセスできる?クライミング界の中で議論が起きていることは楽しみね。初めてクライミングを始めた頃、周りの人々の多くが頼もしい女性たちで運が良いと感じたわ。いつもがんばれと励まされているみたいだった。(けれど実は)話を聞いてみると他の人たちはそうではなかったのね。最近、クライミング中に、自分が有色人種の女性であるという事実に直面しなければならないことが実際にあったの。東アジア人と白人の混血だから、実際に違うことは自分でも分かってる。とは言え、私は白人のスペースを実に気楽に往来することができる。それでも、野外のクライミングで私のような人をたくさんは見ない。間違いなく先住民や黒人のクライマーも同じくらい見かけないわ。先住民族の聖地であるここ(ビショップ)のような場所で、それはどういうこと?アメリカの原野の多くにも、同様のことが当てはまるわ。

あなた自身やクライミング界にとって、クライミングの将来はどうなると思う?

だからこのインタビューをすごく楽しみにしていたのよ。多くのクライマーにとって、それはとても耳の痛い話だと思う。白人クライマーの多くは特権があるし、アクセスできるからね。彼らの多くはそこに至るまで努力し、彼らなりに障害を乗り越えてきたかもしれない。でも、知ってのとおり、私たちは特権について話し始めると、つい自分を守ろうとしがちよね。私もそう。だから私はあまり感情的に自己防衛をせずにこうした対話に臨む方法を学んだわ。でも難しい対話よね。

この世界では、米国だけでなく世界中で、人権や正義を巡って多くのことが起きているでしょう。クライミングをそういうのとは違うものだと考えるのは、本当に単純で、とても特権的ね。クライミングは次第に広まりつつあるから、(初めてクライミングをする)人々が隠れ家を見つけ、自分自身や大地とのつながりを見いだし、そして時間をかけて責任やコミュニティを育み、より良い人間になれるように、私たちはこうした対話に向き合わなければならないと思う。クライミングがあったから、私自身も良い人間になれたと思うの。だから願わくはこれからも人々にそうあってほしい。Brown Girls Climb、Brothers of Climbing、Melanin Base Campのように、今回のようなプロジェクトやそれを巡る議論がこのスポーツをいい方向に変えることを願うわ。そういう声が世間に広がれば空気が変わるよね。私もすごくうれしい。

Photo: Brittany Leavitt
Photo: Brittany Leavitt

ダシェル

クライミングの他に熱中していることは何?あなたはクライミングにどのように関わっているの?

私はダシェル。性別は女性で、ラスベガスに住んでいるの。カーリーヘア専門の美容師よ。とにかくカーリーヘアのすべてが私をすごくワクワクさせるし、私生活や仕事で私たちは髪を「着て」いるのだと思うと、とてもやりがいになるわ。それからレッドロックで子犬たちと過ごすのが大好き。外出にはいつも連れて行き、ドッグランにたむろしているの。町の中心部に家を持っているのよ。あとダンスも好き。音楽をかけたら、もうじっとしていられない。この3つがたぶん人生で最も夢中になっていることね。

クライミングを最初に知ったのは、スペインへの女子旅を間近に控えたお客さんからよ。彼女が戻った時に一部始終を聞こうと楽しみにしていて、その時に(クライマーが)「岩壁で寝る」と知ったの。スペインでの2週間の休暇は、彼女のその夏のすべてになった。彼女に世界中からそんなにたくさんの新しい友たちができたなんて信じられなかった。それに興奮した私はクライミングについてもっと知りたくなり、ラスベガスにもワールドクラスのクライミング・スポットがあると知って、これはもう飛び込むしかないと思った。当時はサーフィンも習いたいと思っていたけど、ベガスには海がなくて、だからクライミングは二の次だったのね。実はこれまで思い出したことがなかったわ。

クライミングによって、私は毎週末を屋外で過ごせる、まったく新しい居場所ができた。これを女性がやる、女性たちがグループでやって、そしてとても「パワフルで強い!」と実感できると知ってすごく感動した。すばらしい情報源になってくれたそのお客さんには本当に感謝しているわ。それ以来、クライミングをやりたい女性のためにFacebookグループを立ち上げ、ほぼ毎日曜日に集まっているの。

ここベガスで、商業地から離れ、ただクライミングをするために、世界中の人々に会うのはステキよ。私のクライミング歴は約2年、スポーツ・クライミングが好き。高く垂直な壁を、技術を使って静的な動きで登るのは最高。できるかぎり整然としなやかな登りがしたいの。地元のある男性の言葉を借りると「きれいに登る」。実はこれまで、ほとんどレッドロックで登っていたの。美しいところよ。でもバーストゥ近隣のニュージャック・シティも、多彩なルートが凝縮されているから好き。さまざまなグレードがあるし、あそこはBLMの管理地だから、キャンプもできるし、楽しい週末の旅を過ごせるわ。

クライミング中にどんなフラストレーションを感じたり、対処したりする?

ほとんどの人がそうだろうけど、自分を真に駆り立て、自分のグレード以上のクライミングをするという心理戦が、おそらく私にとって最大のフラストレーションね。きっとそう。みんなクライミングのフィジカルな面にはハードに取り組むよね。でも頭も使わなきゃいけない。これは個人的な意見だけど、メンタルの強さはフィジカルよりも厄介よ。日常ではそんなことしないのに脳内のリアクションを消し去り、ずっと静かに集中する能力を見いだそうとする。それも私が努力しなきゃいけないことなの。

私にとっては、仕事も1日中立ちっぱなしで手を動かすから、キツイのよ。でも仕事は外せないし、ハードなルートには切り傷、あざ、突き指が付きもの。だからケガをして働けなくなることが、実は時々ちょっと怖いの。

私が心底びっくりしたのは、なぜ男と女が異なるコースを登るのかということ。みんな同じ岩を登れるんじゃない?登るのが男か女か、白人か黒人かなんて、岩は知らないわよ。自分独自のベータができたら、どんなルートだって登れるわ。

あと、他に何がイラつくかって、私の後ろで濡れた岩を登っているあの連中。これは全然ステキじゃない!レッドロックでは1週間、雨と雪が降りっぱなしで、こうして話している今も、地面にまだ水たまりがある。私はここに住んでいるから、いつもこう言うの。「来週、岩が乾いたらまた来るわ。たいしたことじゃないもの。」でも、中にはとにかく登ろうとする人や旅行で来た人、単に無知な人やお構いなしの人がいるのね。とにかく岩が濡れていると安全じゃないから、みんな思いとどまるべきよ。

あなた自身やクライミング界にとって、クライミングの将来はどうなると思う?

クライミングは、特にこの夏のオリンピックがあるから、楽しみがいっぱいね(編集者注:このインタビューはオリンピック延期前に実施)。このスポーツの中身について、多くの人々が開眼することになるわ。私の友だちのほとんどは、クライマーの多くがロープを使うことや、壁を登るのに決まった手順があるなんて見当もつかない。あの人たちの脳内イメージは、アレックス・オノルドなのよ。

Boys and Girls Clubが低所得者層や社会的弱者にクライミングの機会を提供するプログラムを開設し、ジムにボルダリングのウォールとトップロープを設置し、ギアを提供するという記事をどこかで読んだわ。従来の「特権的な白人男性」クライマー以外にこのスポーツを拡大しようとする良い例よ。これこそ本当にステキだと思う。ちゃんとしたシューズと熱意さえあれば、ほとんどの場合、だれでも登ることができる。安いし、いい運動になるし、新しい友だちを作るすばらしい手段よ。私にとってクライミングは、ダンスと同じように普遍的なものなの。

Photo: Brittany Leavitt
Photo: Brittany Leavitt

ダニエル

クライミングの他に熱中していることは何?あなたはクライミングにどのように関わっているの?

クライミングは、瞑想みたいなもの。音楽との関係を説明する時もそう言うの。私はピアノを弾いたり、歌を歌ったりしながら成長し、ついには独学でウクレレやその他の楽器も弾けるようになった。クライミングを始めた時、同じような関係を見つけた。たぶん平穏とでも言うのかな…そこにはただ、自分の身体と心が何をしているかを把握し、均衡させる力がある。この美しい情熱のようなものをごく最近発見したのよ。ただひたすら、自分自身が現れてくるのを見ているの。

クライミング中にどんなフラストレーションを感じたり、対処したりする?

1年前に正式にクライミングを始めた時には、壁に取り付き、高さの恐怖に耐え、ビレイする人が私を下ろしてくれるシステムを信頼するという点で、葛藤があった。でも間違いなく、私にとってもっと大きな戦いは、「ここは私の場所?私はここにいていいの?」というこの不確かな感覚だったと思う。登り終えたら、消えたかった。ジムに私みたいな人はいなかったから。

クライミングの世界に飛び込むのには苦労したけど、私はどんなことに挑戦するにも常に積極的で情熱的だったと思う。子どもの時からそうで、その頃から私は南カリフォルニアのとても限られた裕福なコミュニティで暮らしている数少ない有色人種のひとりだった。

あなた自身やクライミング界にとって、クライミングの将来はどうなると思う?

これと全く同じ感覚について、もっとはっきり声を上げようとする多くの人々との輪が広がりつつあるの。こういうレベルで関わり、話せることは、本当にステキ。これはクライミング界だけでなく、アウトドア・コミュニティや私たちの文化全般におけるムーブメントよ。そしてもう止まることはない。そのためには人々が表に立って、声を上げ続ける必要もある。たとえ大変だったとしてもね。こうしたコミュニティ・スペースが国中で形成され、拡大しているから、私はもっと多くの支援を見つけられる。これがクライミングの将来だと思う。変わりつつあるのよ。それを見るのが本当に楽しみ。それでもなお、人々は声を上げ続け、互いに支え合い、自分自身の声で、とにかく参加しなければならないと思う。インストラクターとして、私が登りたいコアな理由はそれよ。支援し、力を与えたい。自分自身のためだけでなく、他人のためにも。

Photo: Brittany Leavitt
Photo: Brittany Leavitt

オードリー

クライミングの他に熱中していることは何?あなたはクライミングにどのように関わっているの?

ユーザー・エクスペリエンスの設計者として、ユーザーにとって使いやすくて有意義なデジタル・エクスペリエンスを開発しているの。クライミングと設計は、私のアイデンティティに関係し、この2つには実に多くの共通点がある。どちらも、問題を解決するには、偏見にとらわれない試行が必要だから。

もっと若い時だったら、クライミングをするなんて考えもしなかったでしょうね。私みたいな人がメディアに取り上げられることはなかったから。技術分野でキャリアを積むこともなかったと思う。そういう機会に触れることは皆無だったから。今は、どちらの世界にも、アクセシビリティに関する対話や安全なスペースを育てようとする協力的な空気があり、参加権を与えられたと感じるわ。私はBrown Girls Climbのメンバーで、この組織のミッションは、メンバーがクライミングをやり、自分たちのコミュニティに関連する話題を共有し、議論できる安全なスペースを作ることなの。私はHexagon UXロサンゼルス支部の共同支部長でもあり、これはユーザー・エクスペリエンスにおける女性やノンバイナリー(性別を固定しない人)のための組織よ。クライミングと設計に対する情熱は、私が苦しい時代を生き抜くのを支えてくれたから、多くの人々が帰属意識を感じられるように、この2つの世界にお返しがしたいのよ。

クライミング中にどんなフラストレーションを感じたり、対処したりする?

「女性だからクリンプが好きでしょう?指が短いから」という言い方をされたことがある。性別を理由に勝手にクリンプ好きと決め付けられたらイラっとするわ。(でも確かに…クリンプは好き。それにピンチや大きくてダイナミックなムーブも!)時おり、ベータをまくし立てる人がいて、たぶん親しくなりたいだけなんだろうけど、自主性が奪われたみたいな気分になる。おそらく人は自分が言ったことが私に影響を与えたとは分かってないのよね。あちこちで出くわす忠告にどう応じるかをまだ学習中で、だからできるかぎり声を上げるようにがんばる。

あなた自身やクライミング界にとって、クライミングの将来はどうなると思う?

クライミングの将来は本当に楽しみ!ここ数年、オープンするジムの数から見ても、さらに人気が高まっているし、この勢いが弱まるとは思えない。特に2020年の日本でのオリンピックにクライミングがデビューするからね(編集者注:このインタビューはオリンピック延期前に実施)

野外での影響を最小限にし、これらの土地がだれの故郷であるかを認識する責任がさらに大きくなったと思う。こういった大規模な形でクライミング界がアクションを起こし、変化を実現しようとしていることはすごい。地域のジムが人々にクライミングの倫理やベストプラクティスを教えるイベントを開催しているわ。プロクライマーは、環境への影響を減らすための基金を開設し、環境政策に関わっている。

岩を登るのも好きだけど、同時にこうした主義に貢献することができ、この問題に配慮するコミュニティの一員でいられることを本当に有難いと思うわ。

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