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ロンドン・ファッション・ウィークで死を模した抗議と葬送行進により衣料品産業の気候変動への役割を指摘するエクスティンクション・リベリオン・イギリスの活動家たち。Photo:David Cliff
ロンドン・ファッション・ウィークで死を模した抗議と葬送行進により衣料品産業の気候変動への役割を指摘するエクスティンクション・リベリオン・イギリスの活動家たち。Photo:David Cliff

活動家はファッション業界の改革を望んでいる

By アーチャナ・ラム   |   2021/03/09 2021年3月9日

サラ・ジェイン・スミスはいまも彼女の非営利団体であるマグパイズ&ピーコックスが昨年3月に何枚の個人防護用マスクを作ったかを正確には覚えていませんが、おそらくその数は数千に及ぶと言います。同団体はファッション業界の廃棄サイクルを崩壊させ、生態系と社会への影響を緩和させる方法として古い生地を集め、リサイクルし、新しい品——たとえば古いH&MのTシャツを犬のおもちゃに、食卓用リネンをドレスに——へと再生させます。2011年の創立以来、145トン以上の衣料品廃棄物を7,000点以上のアイテムにアップサイクルし、ロンドン・ファッション・ウィークでその再生品をお披露目してきました。そして、COVID-19が拡大したとき、彼らは自らが資源となれることに気づき、行動をはじめました。

彼らのテキスタイル・ライブラリーには3年前に寄付された耐久性プラスチックの不織布ポリプロピレン——調理器具や高機能性衣類に使用される——がありました。彼らはこのテクニカルな布地に新たな命を吹き込み、それを最も必要とする医療現場の最前線で働く医療従事者のニーズを満たすことができることを知っていました。

「ポリプロピレンは素晴らしいフィルターではありますが、惑星にとっては悪影響を及ぼします。埋立地で200年も存在しつづけるのです」とスミスは語ります。「私たちはすでにそれを仕分け、清浄、箱詰めした手付かずの状態にしていたので、即座に生産に取りかかることができました。新しい言語を学んだり、サワードウを作る代わりに、私たちが自宅待機中にやっていたのはこれだったのです」

非営利のデザイン会社マグパイズ&ピーコックスより寄付されたサンプル生地から作られたゼロウェイスト、アップサイクルの色鮮やかなマスク。Photo: Magpies & Peacocks
非営利のデザイン会社マグパイズ&ピーコックスより寄付されたサンプル生地から作られたゼロウェイスト、アップサイクルの色鮮やかなマスク。Photo: Magpies & Peacocks

メーカーのネットワークと協働することにより、彼らは猛烈なスピードで注文に応じました。4月に営業を再開した際には、残ったポリプロピレンとコットンの端切れを混紡した生地で一般向けのマスクを製造することに取り組みました。海外の素材や労働力あるいは輸送への依存など多くの理由により、他の小売店が営業の存続に苦心している中、マグパイズはパンデミックの期間でも成功したビジネスモデルを持っていました。彼らはこのチャンスを自らの活動家としてのメッセージを拡く届けるために利用しました。私たちは新しいものを買う必要も衣料品を埋立地へと送る必要もなく、業界はすでに必要な素材すべてを持っているというメッセージでした。

スミスは、労働者が安全かつ公平な就労条件を持ち、廃棄物を最小限に止め、ゼロあるいは最低でもより低い炭素排出を達成する循環型のサプライチェーンを設定するために小売店に大胆かつ必要な変化を起こすことを呼びかける、気候変動や社会正義の活動家のコミュニティの一員です。衣料品産業の環境記録をざっと見てみると、彼らの主張は明らかです。世界の汚水排出の20%が衣料品の製造に起因し、アパレル産業は世界の炭素排出の最大10%を担っています。

気候活動家は、絶え間ないマーケティングのメール、推奨アルゴリズム、そして私たちの多くが毎シーズン、特にホリデーシーズンにはワードローブを新調したり模様替えをしたりしなければならないという考えと闘っていることを理解しています。(今シーズンのブラックフライデーとサイバーマンデーのマーケティングメールは特に切実かつ声高でした)しかし、活動家の使命はファッションと私たちの惑星の関係に焦点を当て、ポストCOVID-19の世界でも私たちが逆行しないように、簡単かつアクセスしやすい、革新的な方法でその情報を提供することです。

「私たちは消費することを教えられてきましたが、意識することは教えられてきませんでした」とスミスは語ります。元々グラフィックデザイナーだった彼女は、インテリアデザイナーとして働くために地元ロンドンを去り、大西洋を超えてテキサス州ヒューストンへ移り住んだ20年ほど前に、消費の問題にはじめて目覚めました。彼女はクライアントの家の内面から買いだめの心理に気づいたのです。

「人が集めているものはおかしなものでした」と彼女は言います。「なぜ同じモノを2つ購入し、タグをつけたままにしておくのでしょう? 安いからという理由でなぜ再びモノを購入するのでしょう? その価値観のシステムは奇妙に感じられました。そのとき自分がその一部である必要はないことに気づきました。しかし、当時は持続可能性のためのビジネスモデルは存在しませんでした」

彼女はまず交換からはじめ、クライアント50人にタグのついたままの衣類を提供することを要請しました。その結果、2,000点の物が新しい所有者のもとで新しい生活を送ることになりました。

活動家の多くはこれを、ファッションが惑星に与える影響を緩和させるための鍵だと考えています。リユースは循環型のシステムです。これは業界水準の「抽出・製造・廃棄」というモデルで、地球から資源を抽出し、エネルギーを消費して製造し、しばしその一部は埋め立て地へと送られています。しかし、例えば、5人のために5着の新しいトップを作る代わりに1着のトップを5人に利用される循環型のシステムは、衣料の炭素、廃棄物、水のフットプリントを73%削減します。

「ありがたいことに、倹約はカッコよくなりました」と言うのはニューヨーク市の17歳の高校生でエクスティンクト・リベリオン(XR)の草の根組織の一部であるXRユースの全国コーディネーターを務めるソフィー・アンダーソンです。「活動に関わっていない学校の友達ですらカーボンフットプリントについて考えているのです」

アンダーソンはXRユースとともに昨年2月のニューヨーク・ファッション・ウィークでのゲリラ・ファッションショーでは、バブルラップや端布、マクドナルドの紙袋などの廃棄物で作った衣装を製作しました。それは彼らが糸とホットグルーガンで持続可能で素敵な代物をわずか数時間で作れるのなら、ファッション業界の最大ブランドの陰に存在する創造力を使えば必ずそれは可能であるという呼びかけでした。最近では、彼女とそのチームは昨年の夏のブラック・ライブズ・マター抗議と先住民の人権のための闘いに感化され、マンハッタンで蚤の市をはじめました。この蚤の市は、マスク着用とソーシャルディスタンシングを義務付け、利益の60%を相互援助組織に寄付するものです。

XRユースによるニューヨーク市の蚤の市で商談をまとめるソフィー・アンダーソン。高校生たちは衣類などを交換し、埋立地行きを止め、ニューヨーク市の相互援助団体のために1,500ドルを稼いだ。Photo:Lucia R. Harrison
XRユースによるニューヨーク市の蚤の市で商談をまとめるソフィー・アンダーソン。高校生たちは衣類などを交換し、埋立地行きを止め、ニューヨーク市の相互援助団体のために1,500ドルを稼いだ。Photo:Lucia R. Harrison

気候活動家とファッション活動家のアクティビズムの中核にあるのは教育です。「地球からファッションへ」の主旨は、食品産業のような他の産業に比べてあまり宣伝されていません。放牧で育てられた鶏の卵のカートンには、鶏が自由に飼育されるのに何平方メートル必要かについての説明が含まれているかもしれません。また、一部の牧場主は牛が何を食べているのかについて「グラス・フィニッシュド」の具体的な内容に至るまで、幅広い情報を提供しているところもあります。顧客が質問をするからこそ、彼らはその答えを提供するのです。

「多くの人がファッションは機械によって製造されていると思っています」とベルリンを拠点とする非営利団体ファッション・レボリューションの支部であるフューチャー・ファッション・フォワードの共同議長マックス・ギルジェンマンは言います。「彼らはどれだけの人びとがファッション業界で、またどんな状況の下で働いているかをまったく知らないのです」

フューチャー・ファッション・フォワードはフラッシュモブや直接的な行動イベントなどで教育を町へと持ち出し、衣類の陰に存在する人びと、農場や工場や倉庫で働く人びとに焦点を当てています。

最も成功したバイラルキャンペーンのひとつは、ベルリンの繁華街であるアレクサンダー広場に自動販売機を設置した2015年の社会実験「2ユーロTシャツ」でした。購買者が2ユーロのコインを自動販売機に入れると、Tシャツの代わりに女性や子供が1日16時間労働で1時間にわずか13セントを稼ぐ衣料品工場の劣悪な環境を見せるビデオが再生されます。その終わりに購買者はTシャツを買うか、あるいは2ユーロをファッション・レボリューションに寄付するか選択をすることができました。(10 人のうち8人が寄付を選びました)

近年、気候変動とファッションの行動主義の機動力は増してきましたが、2020年のパンデミックと大統領選挙、さらに消費について考えなければならない時間が増えたことで、このムーブメントは沸点に到達しました。ブラックフライデーは、活動家が巨大ブランドに圧力をかける好機でした。小売業のビッグデーには、グリーンピースとプログレッシブ・インターナショナル、さらにアマゾン倉庫の労働者を含む国際気候活動家の集団によってはじめられた「メイク・アマゾン・ペイ」が世界中における抗議やストライキとキャンペーンにローンチし、巨大テック企業に対して、社員の賃金と病気休暇の増加、労働組合を許可、2030年までに炭素排出ゼロの誓約、人種差別行為を示した機関とのつながりを断つことを要求しました。これとは別にファッション・レボリューションは、人と惑星を犠牲にする過剰生産は許容できないことをブランドに示すために、市民にブラックフライデーとサイバーマンデーの間に購入を控えるソーシャルメディア・キャンペーンを作りました。このキャンペーンはまた「#whatsinmyclothes」と「#whomademyclothes」のハッシュタグで巨大ブランドに対して廃棄物の責任と、労働者をどう保護しているのかについて問いただしました。

活動家は小売業の問題を解決するため圧力は顧客ではなくブランドにかけられるべきであることに同意していますが、個人の購買行動を変えるために時間をかけることは、私たちが必要とする巨大な移行への重要な一部となります。「私たちは皆さんに、教育された消費者になることへの旅に参加し、皆さんが買うものの価値とよりクリエイティブになることの意味を理解して欲しいのです」とスミスは言います。「私たちは、惑星のより良い保護者になってもらうために、人びとにツールと手段を与えなければなりません。一旦、その情報への扉が開いたら、自分にこう問いただします。『どうすればひとりの人間が変革の担い手となれるのか?』と」

買うことは減らし、求めることは増やす。

皆様には衣類の製造方法を変える力があります。

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