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革命はミュートされない

マダリナ・プレダ  /  2020年9月3日  /  読み終えるまで12分  /  アクティビズム

アラスカの全米原油埋蔵地として知られるテシェクプク・カリブー群の出産地を牛耳る産業。 Illustration:Samantha Levy, Photo:Keri Oberly

チャコ・キャニオンのための初の公聴会はズームで開催されました。目前の問題は、ニューメキシコ州北西部に位置するプエブロおよびナバホを含む先住民族の古代および神聖な土地であるチャコ広域地方における、石油とガス掘削を許可する計画提案です。これが開催されたのは5月14日。アメリカ全土では、多くの人びとが自宅待機命令にしたがい、ビジネスが閉鎖され、COVID-19により失われた何万もの命を家族が悼んでいる最中でした。その間、原油価格は暴落し、4月20日には1バレルはマイナス価格で取引されたほどです。こうした状況のもと、原油やガス採掘の拡大計画は急を要するものではないと思うでしょう。しかしそれどころか、トランプ政権のもと連邦土地管理局(BLM)はこれまで以上に原油とガスのプロジェクトを迅速に認可することにより熱心なようでした。

バーチャル会議をホストするために、BLMはみずからを「より良い明日を築くために機関および産業が困難な規制、そして市場の状況をかじ取りするための援助を提供する信頼できるパートナー」と表現する民間契約者、EMPSiを起用しました。ミーティングへの参加者は(携帯サービスがあれば)電話で、あるいは(インターネットがあれば)ズームで参加しました。ズーム参加者はQ&Aのチャットに質問を残し(他の参加者は見えませんでしたが)、画面に浮かぶ司会者が内容を読みながらプレゼンテーションするスライドを見ることができました。その後につづく一般からの意見聴取では、参加者は意見を共有するために技術的な手順を踏み、消音の解除をお願いしなければなりませんでした。意見を述べる機会を得ると、発言者の名前とともに3分のタイマーがスクリーンに表示されました。制限時間が切れると、彼らの音声はまた消されました。

このQ&Aセッションで、最近の環境影響声明書(EIS)は石油とガスの価格暴落を勘定に入れているのか、といった思慮深い質問が投げかけられました。このズーム会議は連邦政府法が要求する一般参加の義務を満たすためにBLMが開催する唯一のものとなるでしょうか? 付属書類4件を含む合計259ページにおよぶ退屈な言語で書かれた3巻の環境影響声明書はユート語に翻訳されるでしょうか?明確な回答を避けるために、BLMの代表はお決まりの論点を使いました。これらの証言時間に、鬱憤は沸点に達しました。

「なぜナバホ国および多くのプエブロが危機に面している最中に、また参加に必要なインターネットへのアクセスがない中で、これらの意見聴取の会議が開催されているのですか?」とある参加者は質問しました。

「命を失った人たちを悼むことができるよう延期してください。私たちはインターネットに制限があり、彼らは知っています。私たちは沈黙しています。なぜいまなのか? 私たちはみんな気を取られているからですよね」と別の参加者が言いました。

革命はミュートされない

コノコフィリップス社のグレーター・ムースズ・トゥース・ユニットまでの砂利道の脇でカリブーを探すヌイクスト先住民の村の行政官のマーサ・イッタ。イッタは石油とガス開発に反対し、それが村の人びとと動物に与える影響について、意見しつづけている。Photo:Keri Oberly

チャコに住む先住民族はこれまで延期を求めましたが、BLMはそれに応答しませんでした。ある発言者はチャコの地域社会はすでに現存の石油とガス開発による大気汚染に悩まされており、EISは社会経済水準や石油とガス価格の下落を考慮に入れていない、と証言しました。また別の発言者は「この地域はすでに崩壊しており、石油とガスの先の世界を考えるときが来ています」と言いました。また別のひとりは「私たちの故郷にこれらの油井は必要ありません。停止を検討してください」と付け加えました。

現在石油とガスプロジェクトが迅速に認可されている公有地はチャコだけではありません。じつはまったくその逆です。アラスカの最北地にある北極圏では、コノコフィリップス社による5つの石油掘削地と540キロのパイプライン、2つの滑走路、2つの砂利採取場、何百マイルもの新規道路計画が進行しています。ウィロウ・プロジェクトとして知られるこの巨大な事業は、ホッキョクグマの住処、移動する鳥とテシェクプク・カリブーの群れの故郷であるテシェクプク湖のすぐ隣に開発されることになります。BLMアラスカは、パンデミックの真っ只中である4月と5月に、ウィロウ・プロジェクトについての意見聴取をするために一連のバーチャル公聴会を開きました。

革命はミュートされない

ヌイクストが設立された1973年以来の同じ区画に立つマーサ・イッタ。祖母の伝統的なイヌピアックのジャケットであるアティクルークを力のシンボルとして纏っている。Photo:Keri Oberly

「COVID-19がやって来る前、先住民族の指導者たちは一般からの意見をより多く聞くために差し向かいの会議をBLMに要求しましたが、BLMはそれを3度キャンセルしました。そしてCOVID-19がやって来た途端、彼らは進行させたのです」とテシェクプク・カリブーに食糧を直接的に依存する半ダースの村のひとつ、ヌイクスト先住民村の行政官であるマーサ・イッタは語ります。イッタはバーチャル公聴会で意見を述べるのに悪戦苦闘し、意見し終わる前に音声を消されたことを私に告げました。

「私たちの地域は40年以上も石油とガスの問題に取り組んでいます」と彼女は言います。「私の地域は差し向かいの会議を望んでいます。実際に顔を付き合わせることは、より強固で、より強力です。責任をもつのが誰なのか、私たちに代わって意思決定をする人が誰なのかを見ることができないことには、反対しています」

パンデミックの前には30〜50人が参加した対面による公聴会に比べて、ウィロウ・プロジェクトに関するバーチャル公聴会では、証言したのは地域のわずか4人のメンバーだったとイッタは語りました。「これらのミーティングを世界的な危機の最中に開催することは、私はより多くの恐怖とストレスを感じます」とイッタは言います。「私たちは現在、地域の健康と安全に110%集中しています。世界的な危機のなかでおこなわれるバーチャル公聴会のこのプロセス全体が、私が属する社会に対する不正義です」

シキニク・モウピンはウキアヴィックで生まれましたが、フェアバンクスとアンカレッジで育ちました。彼女の祖父母はヌイクストとウキアヴィック出身です。彼女は現在アラスカ州第二の都市であるフェアバンクス在住のイヌピアックの母親です。彼女はノース・スロープをさらなる石油とガス開発から守るためにいくつかの公聴会に参加し、ウィロウ・プロジェクトについてのBLMのバーチャル公聴会では質問を繰りかえしましたが、答えは返ってきませんでした。彼女はこのミーティング全体がいかに非人道的だったかについて嘆きました。

「生のミーティングに来た場合、意見したければ参加し、したくなければ座って、ただ見ていることができます。タイマーもなく、十分な数の人が意見したあとに余った時間は質問に当てられます。でもこれらのバーチャル公聴会では、3週間自分の感情をさらけ出したあとで、私は完全にひとりぼっちでした。通常、友達と食事をしたりして支えてもらうことができます。そうしないで、私はたったひとりでこれを経験し、子供たちの前で涙し、起こっていることすべてに対応しながらこの仕事を試みているのです……コミュニティの連帯なく。一般公聴会では、母子家庭の私たち3人が参加し、子供たちは一緒に走りまわります。それは共通の感覚をもたらし、私たちに力を与えてくれました。いまはとても寂しく、気が伏せています」

「この土地は盗まれました。いま私たちは人びとに、この地をふたたび守るために、ひとりで、闘うことを求めています」とモウピンは言います。

同様の鬱積はブリストル湾でも展開しています。世界に残された最大のサーモン回帰のひとつを脅かす銅の露天掘り提案、ペブルマインです。ペブルマインはオバマ政権により阻止されていましたが、トランプ政権のもと復活しています。

過去5年間、ブリストル湾を保護し、ペブルマインを阻止することを希望する250万件以上の意見が提出されていました。ときとして、十分な数の人びとが正しい政治家あるいは機関をターゲットにして十分な声を立てるとき、変化が起こります。2001年、米国林野部は600以上の公聴会を通して集められた170万件の一般からの意見を含む広範囲にわたる支持のあと、ロードレスエリア保護規制を採用しました。そしてブリストル湾の保護を希望する何百万人の支持も有効でした。少なくともトランプ大統領とアラスカ州知事マイク・ダンリービーが昨年6月26日に会合をもち、トランプ政権の新しい環境保護庁がその翌日、科学的な正当化もなしにブリストル湾をクリーンウォーター法令から除外すると綴った文書を公表するまでは。それ以来、トランプ政権はペブルマインに採掘許可書を応募することを推奨し、その環境影響声明書は6月中旬に発行される予定です。これはアラスカ史上最速のEISとなります。

「EISは芯まで腐敗しています」と〈アラスカ・ヘリテージ・キャンペーン〉のショーレン・ブラウンは語ります。「先住民族との会議の要件を無視し、破滅的なダム崩壊の可能性を完全に無視しました。彼らはすべての問題を無視し、摩訶不思議に100億トンの有害廃棄物がサーモンを脅かすことはないと結論付けました」

これらのバーチャル公聴会は人びとの参加を困難にするだけではなく、ただ必要条項にチェックマークを入れ、懸念を取り繕うために利用されています。「連邦政府はこのプロジェクトが実際に現場でどのよう行われるのかについての補足を付け、アラスカ先住民とサーモンを保護する条項を加え、世界で最も貴重なサーモン漁場が有害な廃棄物集積場とならないことを保証することができます。彼らが耳を傾けているのは何百万人ものアメリカ国民ではなく、産業のロビイストなのです」とブラウンは言います。巨大企業は法的要件をかわし、影響を相殺する意義ある規制なしにやりたい放題をするためのゴム印を得られるこの政権を足早に利用するために、これらのプロジェクトを急がせています。ブリストル湾の場合、ペブルマインは過去数年間で1,100万ドル以上をロビー活動に費やし、採掘計画が確実に州および連邦許可工程を通過できるよう、本年度だけでも290万ドルを使いました。金力をもつ利害者が関わるとき、代議制の工程は大幅に歪んだものとなります。

活動家と発言者はそう簡単には諦めません。バーチャル・タウンホール会議が、BLMが必須項目にチェックを入れるためだけのものにすぎない状況のなか、彼らはこのような公式な工程の枠を外れ、一般からの圧力に敏感な異なる意思決定者や企業などを探し出しています。これはユタ州では功を奏したようで、今年のはじめ、24時間でほぼ2,000件のメッセージという、一般からの懸念の波に反応したユタ州知事は、BLMにモアブの象徴的なスリックロック・トレイルを囲む2つの区画を提案されている石油とガス採掘のリース売却から外すことを依頼しました。この場合は、変化は知事に直接圧力をかけることによって達成されました。

ブリストル湾では、組織者は最終の環境影響声明書を待っています。この後一般からの意見聴取期間は設けられていないため、ブラウンやその他の地元の活動家はクリーンウォーター法令を利用してペブルマインをストップさせるよう環境保護庁に圧力をかける戦術へと転換します。トランプ政権の環境保護局がトランプの陸軍工兵部隊が作ったものを拒否することに高い望みを抱いてはいませんが、彼らはそれが声を高め、選挙へ向けて注意を喚起する最善策だと考えています。「ブリストル湾で陸軍工兵部隊とトランプのホワイトハウスを信じる者はもはや皆無だと思います」とブラウンは言います。「彼らは法律に違反し、一般を無視し、ワシントンD.C.のあらゆる腐敗したロビイストのために便宜を図ってきたのです」

チャコについては、先住民族からのたゆまない圧力が一般意見聴取期間の120日延期へとつながりました。

それでも、環境保護者と地域の組織者は「意見疲労」を認めています。「私たちは意見疲れしています。私たちのキャンペーンは12年がかりで何百万もの意見を出してきました。そしてその結果は明らかです。私たちは実際に意義ある瞬間に人びとに援助を、慎重に求めようとしています。トランプ政権は何百万件もの意見をゴミ箱に捨てました」とブラウンは言います。そしていま彼らはズーム抗議の世界に対応しなければならないのです。

「私たちはとても社交的な種で、人びとが周縁化されていると感じる多くの異なる理由、そして一部の人を上へ、一部の人を下へと押しやる多くの異なる構成概念が存在します」と革命的な人類学者でボストン大学の博士研究員のドーサ・アミアーは言います。人間は他の動物がもたない政府と社会的構造という文化的組織を有し、それは私たちが法律や人びとの行動を変える力をもつことを意味します。「望むならば、機関を異なる方法で規制し、未来の世代のための長期的な利益を生むような決断を促進することはできます」と彼女は付け加えます。「乗り物があっても、彼らは正しい人びとにそれを運転させていないのです」

私たちの声が消されないようにしよう

私たちはアメリカがCOVID-19危機に圧倒される最中にトランプ政権が非環境保護的な決定を押し通すのを即座に阻止する必要があります。選出議員に連絡を取り、パンデミックのあいだはすべての意見聴取期間を一時停止することを求めましょう。

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