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山を下りる

ジョゼフィーヌ・オース  /  2020年9月29日  /  読み終えるまで5分  /  スノー

スキーヤーとして、パーマカルチャーに魅了された者として、ボンシニョーレが歩んできた道のりは、適応と努力の力を肯定するものだ。そして、人間としてわたしたちの存在が、自然界を変えるのではなく、協力すべきであることを。写真:エミリー・ル・ハリドン

パーマカルチャー農家に転身した
フランス人スキーパトロール隊員

「今やすっかり『ラメイジェ北壁の麓、ロマンシェ川河畔で野菜を育てている男』になったよ。」これがジャン・シャルル・ボンシニョーレの「ペペハ」である。ペペハとはマオリ族の自己紹介のやり方で「~がわたしの山、~がわたしの川」という口上だ。熱狂的スキーヤー、パトロール隊員、ロープアクセス作業員、クライマー、山岳家、熱心なアングラーであるジャン・シャルル・ボンシニョーレの山への情熱は深い。フランス領アルプスのフリーライドの聖地ラグラーヴでスキーパトロール隊員として恵まれた数年間を過ごした後、シチリア系フランス人の彼は、長年の夢だったシンプルな暮らしとパーマカルチャーに基づく農業を求めて山を下りた。

ボンシニョーレ(イタリア語で「善人」の意味)が標高約1,800メートルから引っ越した先は、標高800メートルほどのルブールドアザンのはずれだ。中央をロマンシェ川が流れ、アルプスの高峰に囲まれたその場所で、今は約4エーカー(約1.6ヘクタール)の平らな土地で暮らしている。

“「何をしたとか、何をしているとかで何者かを判断することから一歩離れたら、自分のルーツや属する自然の方が、より強力なメッセージになるよ」”

「マオリ流の自己紹介に出会ったとき、ラグラーヴのスキーパトロール隊員です、ロープ作業員あるいは山岳救助員ですと挨拶するよりも、自分にとって重要に思えたね。何をしたとか、何をしているとかで何者かを判断することから一歩離れたら、自分のルーツや属する自然の方が、より強力なメッセージになるよ」ボンシニョーレは言う。

山を下りる

ラメイジェ縦走の初日、ジャン・シャルル・ボンシニョーレはセレ避難小屋を目指して滑る。フランス、ラグラーヴにて。写真:ベネッサ・ビウカー

24平方メートルのトレーラーハウスを改修し、快適な住居にした。山道具はまだ手元にあるが、ほぼ毎日、登山靴は脇に置いて、愛用の作業靴を履き、土について学んだり、野菜を育てるのにできるかぎり良い環境を作ることに日々を費やしている。
「これまで物質主義者だったことは一度もないし、いつも少ない物でアウトドア生活をすることを夢見ていたよ。自分の庭があるここで暮らして、ぼくは自分の居場所を見つけた。自分の条件で、自分の信念を持ってこの社会で生きること。ぼくは独りでこの土地に取り組んでいる。自分が誰であるかが分かってきたし、自然との直感的な関係を育んでいるんだ。」

数年前パーマカルチャーについて初めて耳にしたとき、それはボンシニョーレの長年の夢を目覚めさせた。あるフランス在住のイギリス人夫婦が、86エーカー(約35ヘクタール)のパーマカルチャーを営んでいることに興味がわいたのだ。彼らの農園を、そしてそこで自然がどれほど繁栄し、その繁栄がどう循環されているかを知った。ボンシニョーレにとってパーマカルチャーとは、自然の向かう先を理解し、その旅に同行し、正しい方角を指し示すことだった。地域の水環境の仕組みがどうなっているかを理解すること。自然のすべてを受け入れ、それに合わせること。変えようとするのではなく、適応すること。山でスキーをしているときの人間と同じように。

山を下りる

ボンシニョーレのトマトは、近隣の山小屋の人々や、地元のラグラーヴやルブールドアザンの市場の常連客に供給される。写真:エミリー・ル・ハリドン

「パーマカルチャーは、すべてを受け入れることだ。たとえ最初から有益と思えないことでも戦うことはしない。人は学び、そして自然の嫌な部分も、実はその他の理由で有益になり得ると気付くようになる。こういう姿勢は日常生活にも実に役立つよ。人間はひとりひとり皆違うことが分かるだろう。それは有意義なことさ。」

こうした考え方の背景には、高山でのスキーパトロール隊員としての経験が影響している。パトロール隊員は、気象や雪山について猛勉強し、そしてラグラーヴのような天然のゲレンデでは、そのような要因に適応することを学ぶ。ラグラーヴのスキーパトロール隊員は、山にいる人々に助言するために存在する。だから、人々に注意したり、自分たちのやり方を押し付けたりすることはない。「山でも農業でも、こうすべきだと人に言いたくないんだ。ただアドバイスになればいいさ。」

ラグラーヴの谷をかなり下っても、ルブールドアザンの土地はまだ山岳環境である。山で野菜を育てるとなると、気温や日照など考慮しなければならない点がいくつかある。ボンシニョーレは、メーヌ州北部の土地のテクニックやアプローチを調査してきた。その気象パターンや地形との間に多くの類似性を見いだしたからだ。彼の農期は3月初旬に始まり11月末に終わる。晩秋と冬の日照時間は限られ、年間のある時期には低温のために温室を使用する。所有地内に自然のままの未耕地を残すことで、虫たちが栄養を求めて彼のサラダを食べる必要がないようにしている。

山を下りる

ジャン・シャルル・ボンシニョーレにマオリ族のミヒの採用を思い付かせた大地と山。ミヒは自分や家族にとって大切な山や河川の名前を述べる正式な挨拶だ。ボンシニョーレのようにマオリではない人々も、正式なミヒまたはその短縮版であるペペハの口上を述べることはできるが、一般的にはマオリ族のそれよりも短く、なぜならその土地との同等のつながりはないと考えられているからだ。写真:エミリー・ル・ハリドン

夏季、ソレイエとテンプルエクランの山小屋がボンシニョーレの農産物を引き受けるため、ガイド仲間や登山客は彼の新たな収穫の恩恵に浴せる。ルブールドアザンの土曜日のフードマーケットが、期間中の収穫物の最終出荷になるが、その他にも地元ラグルーヴの市場や同地域のオーガニック食品店やレストランに収穫物を販売している。「ヘルシーでクリーンな食物を作って、人々に販売し、それで生計を立てたかった。ぼくがこの土地を離れるときは、ここはもっと健全で豊かで、より肥沃な土壌に変わっているはずだ。」

山を下りる

ラメイジェ縦走の途中、セレ避難小屋のテラスで一休みしてバロンデュディアブルの景色を眺めるボンシニョーレ。写真:ベネッサ・ビウカー

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