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提供:NO YOUTH NO JAPAN
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「政治の話はタブー」の時代は終わった

By 能條 桃子   |   2020/07/01 2020年7月1日

2017年秋の第48回衆議院議員総選挙。19歳の私は、ひょんなことから候補者のもとで選挙インターンをすることになりました。ビラ配りや電話かけだけでなく、候補者のSNSの運用、そして街宣車でのうぐいすや演説もしました。陣営が人手不足であったことから街宣車の運用を数日任され、大学生のインターン50名だけで、どの地域でどんな言葉をかけながらまわるかの戦略を立て、実行する機会も与えられました。日本一若い街宣車などと銘打ち、私たちは自分たちの言葉で有権者に訴えかけました。

そのインターン活動を理解し、応援してくれる大人たちが多かったことは事実ですが、一方で心ない言葉や、さらに周囲にいる同世代の無関心の壁にもぶち当たりました。

「政治活動するなんて、意識高いね。偉いね。」
「社会を変えられるのは政治じゃなくてビジネスだと思うよ。」
「若いから何も知らないと思うけどさ……」
「SEALDs気取り?」
「政治に口出すのは、もっと社会を知ってからにしたら?」

大学で財政について少し勉強していた私は、税金の使い道を決められる政治こそ、いまの日本が直面する少子高齢化や地方の過疎化、経済格差を解決できると信じていました。しかし、その政治への関心は高いとはいえず、20代にいたっては投票率が30パーセント程度であることにもとても驚きました。政治や選挙を取り巻く旧体制や男性ばかりの現状、変化を起こしにくく体制、格好良くないイメージや雰囲気など、いまの社会に蔓延る停滞感や無力感を少しでも打破したい、と政治に関心を持ちはじめていた私は、このような社会では、自分が結婚して子どもをもち、育てたいと思う明るい未来など、想像できませんでした。どのようにしたら、私の周りにいる同世代の若者たちがもっと政治に関心をもち、自分たちの政治を自分たちで良くすると考えられるようになるのだろうか……。

そんなことを考えていたとき、20代の投票率が80パーセントを超えるといわれる国、デンマークのことを知りました。デンマークに行けば、デンマークの若者はどうして選挙に行くのか、政治についてどのように学び、考えているのかがわかるのではないか。そんな期待のもと、2019年に大学を休学し、デンマークに留学しました。留学中は日本から同時期に留学していた大学生4人で「わたしたちの北欧がたり。」というブログメディアをはじめ、デンマークで政治活動をする高校生や大学生、若者の政治参画をサポートする非営利団体などにもインタビューしました。ちょうど国政選挙とEU議会選挙が実施されていたことから、たくさんのヒントも得ました。また何よりも若い世代が声を届けて社会を変えている様子を見て、心底羨ましく思いました。

提供:NO YOUTH NO JAPAN
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そんななか、まさにデンマークに留学中の2019年7月、日本で第25回参議院議員通常選挙が行われることになりました。デンマークにいながらでも、私たちが日本の選挙に向けてできることはないだろうか?まずは多くの同世代に投票に行ってもらうことなのではないか?そうして私たちはNO YOUTH NO JAPANの活動をはじめました。Instagramを利用し、分かりやすい選挙の情報や基礎知識を、見やすくキャッチーなインフォグラフィックで展開しました。2週間で20代を中心とした1.5万人がフォローしてくれただけでなく、19歳の私が選挙で感じた無力感がひとつ克服されるような、嬉しいコメントをたくさんもらいました。

「はじめて投票に行った」
「普段投票に行かない友だちや兄弟を投票に連れていった」
「SNSではじめて政治の話をシェアした」
「政治についてもっと知ってみたいと思った」
「初めて選挙がワクワクするものだと感じたし、これからも活動を続けてほしい」
「いつも選挙は顔とポスターで選んでたけど今回初めてちゃんと考えてみた」

あれから1年が経ち、NO YOUTH NO JAPANはいまも活動をつづけています。その思いは設立当初から変わらない、「政治や社会について知って、考えて、行動するという参加型デモクラシーがいきわたった社会を、U30世代からつくっていきたい」ということ。普段の生活で感じるあらゆるモヤモヤの解決は、社会に、そして政治につながっている。でも知らなければ、少しでも声を届けなければ、その政治は私たちから遠ざかっていくばかり。だからこそ、U30世代の仲間たちと一緒に考えて、一緒に生きたい未来をつくるために、知って考えて行動するみんなの背中を押すために、私たちは活動しています。

提供:NO YOUTH NO JAPAN
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これまでの活動で気づいたことがあります。それは、一気に日本の政治を良くすることはできない、ということ。なぜなら、これまで重ねてきたひとつひとつの出来事の延長線上にいまの社会があり、社会は誰かが設計図を書いてそのとおりにつくりあげるものではないからです。でも同時に、一気に変えられないからといって活動は無意味ではなく、確実にたしかな違いを生みだすことができる、この違いをつくっていく延長線上にいまとは違う社会があるということにも気づきました。1年前は何もはじまりさえしていなかったのに、いまはInstagramを3万人以上の人がフォローしてくれ、コメントやイベントへの参加を通して一緒に考えてくれています。社会は変えるといえば大それたことのように感じるかもしれない。でも、一人ひとりが違いをつくることはできる。一人ひとりの政治参加が、この社会に違いを生む確実な一歩になると、私たちは活動から自信をもって言うことができます。

2020年7月5日は東京都知事選挙の投票日です。これからの4年間の東京のリーダーを決める選挙に向けて、私たちは「VOTE FOR TOKYO」という、これまでのさまざまな活動を横断したプロジェクトを進めています。「VOTE FOR TOKYO」では、1人でも多くの若い世代が選挙に興味をもち、投票に行くことを目的に、U30世代が関心のあるテーマについての質問を候補者に送り、候補者たちの回答を一覧にしたり、そもそも選挙がよく分からないと思っている人たちのために基礎知識をまとめた「選挙の教科書」を制作して、Instagramを中心に公開しています。

NO YOUTH NO JAPAN が目指す参加型デモクラシーのひとつ「行動」。この東京都知事選挙への「投票」はひとつのとても大きな行動です。制度が難しい、候補者のことが分からない、投票しても意味がないと感じる……。投票に行かない理由は色々あると思います。しかし、普段の生活のなかで抱えている社会に対する不満や、もっとこういう社会で生きたいという私たちの欲求を政治に繋げるための、いちばん身近な政治参加の機会が選挙です。選挙をきっかけに、「わたしはどんな社会を生きたいのか?そのために誰に投票しようか?」と考える。選挙は私たちの未来をワクワクさせるためのひとつの行動なのです。

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「わたしたちが生きていく社会は、わたしたちがつくっていく」そんな風に思う人がたくさんいる社会になれば、いまよりもっと生きやすく、暮らしやすく、住みやすい社会に違いありません。「若者が声を届け、その声が響く社会」になれば、いまよりもっと若者がこの社会のことを好きになり、自分にできることを探したくなるに違いありません。

それにはまずは、投票から、なのです。

そして「政治の話はタブー」の時代は終わりました。思ったことを言いやすくなった今こそ。次は選挙行こうって思った今こそ。まずは政治をクールにわかりやすく話してみる。

わたしたちの未来に向けて一歩を踏み出し、この社会に違いを生みだす仲間になりませんか?

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