重要なコットンの実験
これは、検証です。農期の後半を迎えた畑では、白い綿花があたりに点々と現れはじめます。この農場では、通常なら単一作物が整然と並んでいるだけの畝のあいだにも植物が育ち、鮮やかな色の美しいサリーを着た労働者たちが手作業でひとつひとつ作物を点検しています。インドは世界最大のコットン生産国で、その産物にはオーガニックコットンも含まれます。しかしこの農場の様子が他と異なる理由は、それが検証の一部となっているからです。その検証とは、私たちのウェアを育てる方法を変えるための試みです。
工業的な技術や有害な化学物質を用いての食物や繊維の生産は、たった1世紀あまりのうちに地球の気候に大打撃を与えました。そこで私たちがより良い方法だと信じているのが、気候変動の阻止に役立つ可能性を秘めている「リジェネラティブ・オーガニック(RO)」農法の実践です。パタゴニア初のリジェネラティブ・オーガニック認証・パイロット・コットンを育てるために、私たちはインドにある150件以上の農場と提携しました。これは、この種のものでは初の試みとなる実験でした。
健全な土壌は炭素を封じ込めるため、この農法は他の農法に比べて温室効果ガスを削減する可能性があります。つまりリジェネラティブ・オーガニックの実践に切り替えることで、私たちは農業システムを、問題から解決策に逆転させることができるかもしれません。オーガニックの最高基準となるリジェネラティブ・オーガニックは、人間と動物がひとつになって大地の健康を回復させ、色彩と活気に満ちたこの農場のように、明るい未来を生み出す後押しをします。