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土壌に一線を画す「リジェネラティブ・オーガニック(RO)」

土壌に一線を画す「リジェネラティブ・オーガニック(RO)」

By ローズ・マーカリオ   |   2020/06/22 2020年6月22日

近年、世界中でオーガニック食品の生産と売り上げが急上昇しています。世界のオーガニック食品市場は2015年から2020年にかけて16%の成長が予想されており、それは従来の農法で栽培された食品よりも早いペースです。

これは朗報のように思えますが、真実は、膨大な利益を生み出すわずか数社の巨大企業による世界の農業システムにおいて、オーガニック農法が占める割合はごくわずかです。そしてそれは悪化しかけています。もし現在予定されている協定がヨーロッパとアメリカの規制を通過すれば、ベイヤー、ダウ・デュポン、ケムチャイナの3社が、世界の種と殺虫剤の3分の2を所有することになります。

この不幸な現実には、私たちの惑星を崩壊させながら、私たちを何十年も人質にする恐れがあります。従来の農法は、生産と輸送のために巨大な量の化石燃料を食い尽くし、地球を有害な合成殺虫剤で氾濫させ、遺伝子組み換え種によって土壌の生物多様性(そして同時に味)を台無しにするからです。従来の農業はまた、私たちの大気を暖める温室効果ガス排出の4分の1を生成します。

そして食は全体図のただ小さな一部にすぎません。コットンについて考えてみてください。コットンは世界中で私たちの衣類を作る主要な繊維ですが、オーガニックで栽培されているものは、わずか1%です。この数字は最低でもパタゴニアがオーガニックコットンの調達を100%にしはじめた1996年以来、ほとんど変わっていません。従来の農法によるコットン栽培には、世界で使われる全殺虫剤の16%が使用されていることを考えると、それはことにゾッとさせられます。これは、ガンやその他の疾病の発生率増加に結び付いているということです。標準となった遺伝子組み換え農法もまた、土壌の肥沃度と生物多様性を減らし、より大量の水と除草剤を必要とし、食物の栄養素を変え、私たちの河川、湖と海を汚染させる有害な排水をもたらします。

幸いなことに、現状維持だけが私たちの選択肢ではありません。「リジェネラティブ・オーガニック」農業とは、時間をかけて土壌の有機物を基本レベルから増やし、農家と牧場に長期的な経済的な安定をもたらし、弾力性のある生態系と地域社会を築く農業を実践することです。つまり、この取り組みは世界中の何十億という人びとに食と衣類を提供するという、明らかに必要なことを果たしながら、惑星と人間の健康のための私たちの農業システムを取り戻す機会を提示します。必要なものを生産し、それと同時に土壌を活性化することにより、現在大気を汚染し、惑星を温めている炭素を隔離するのです。

朗報は、近年、リジェネラティブ・オーガニックに積極的な、良い志をもつ組織が増えつづけていることです。とくに、この取り組み(やその専門用語)は〈ロデール・インスティチュート〉や〈リジェネレーション・インターナショナル〉のような団体によって支持され、その結果として、いくつかのビジネスがそれに真剣に関心をもつようになってきました。パタゴニアでの私たちの関心と知識は、何年もかけて大きくなってきたものです。私たちは25年前にオーガニックの実践を含む天然繊維のサプライチェーンの再構築を、コットンからはじめました。最近では、アパレル用に、そして私たちの食品ビジネスであるパタゴニア プロビジョンズにおいてリジェネラティブの実践を優先させています。

悲報は、「リジェネラティブ」という言葉を使いはじめた企業、研究者、ジャーナリスト、そして農家が増えてきているということです。「リジェネラティブ」が実際にどういうことを意味しているのかを明確にせず、「復元」、「持続可能」、「エシカル」といった言葉と、同じような意味で使われています。さらにひどいことには、従来の、オーガニックでない農業と、「持続可能」な主張が組み合わせられることがますます多くなっています。それは目的にまったくそぐいません。殺虫剤や除草剤を土壌に大量に投入しながら、どうやって土壌の生態系を再建することができるのでしょうか。
苦しんでいる私たちの惑星に膨大な恩恵を提供する可能性を秘めた農業を実践することができるのです。私たちはそれを骨抜きにすることを許容すべきではありません。そのリスクは本当に大きすぎます。しっかりとした定義がまったく、あるいはほとんどない、意味のない言葉があらゆる場面で消費者に投げかけられ、(「オーガニック/有機」というラベルすら信用できません)、ひいき目に見ても、混乱を招いています。さらに既存水準のいくつかは不十分でもあります。たとえば、多くの企業が「ベター・コットン・イニシアティブ」に参加していますが、これは重要な環境および社会的規制がいくらかはありながらも、究極的には合成殺虫剤や遺伝子組み換え種子などの有害な従来の慣行を、さらに永続させています。

「リジェネラティブ・オーガニック」という言葉を使用するということは、農業従事者が遺伝子組み換え種子も合成殺虫剤も決して使用しないと誓約するということです。それに加えて、土壌の生態系を再建するために全体的かつ地元に適した土地管理に取り組まなければなりません。そして土壌が健康なとき、実際に大気中の炭素を隔離し、惑星を冷やす手助けをするものでなければなりません。
リジェネラティブ・オーガニック農業の直接的な利点は卓越しています。それは温室効果ガスを削減するための効果的な方法というだけではなく、より良い食品と、より高品質の繊維も提供します。それらは環境災害に直面する私たちが切に必要としているものです。実際、気候変動に対して目立った変化をもたらす最善のことかもしれません。それは数字が物語っています。〈カーボン・アンダーグラウンド〉によれば、再生された農地1ヘクタールにつき、毎年3トンの炭素が隔離されます。世界に50億ヘクタールの農地があることを考えると、それを再生することにより、150億トンの炭素を減らすことができます。20年間で大気の炭素を産業革命前の状態にまで減らし、2015年のパリにおける国連とCOP21協定によって強調されたスケジュールを軌道に乗せることができるのです。

付随する効果としては、汚染の削減、生物多様性の増加、野生動物にとっての脅威の緩和、より健康な河川、環境に原因づけられているガンや呼吸器系疾患などの一般への健康リスクの大幅な削減など、多くが挙げられます。

また大規模な農業利害関係者たちが発するメッセージに反して、リジェネラティブ・オーガニック農業は現行のシステムに比べて、さらに増大する世界的な人口に、より持続可能に食べさせるために必要なものを満たします。従来の農業はより生産的ですが、それは短期間においてだけのことです。リジェネラティブ・オーガニックの農作物の収穫高は(とくにすでに化学薬品によって劣化した土壌において)、たいてい最初は低く、しかし土壌の微量栄養素が健康を取り戻すにしたがって次第に向上します。長期的には、オーガニックの収穫高は従来型よりも増えます。例外もあります。たとえばオーガニックコットンは従来農法のそれよりも収穫高は低いかもしれません。しかしながら土壌(と農業労働者)の健康への恩恵を考えれば、その欠点を補って余りあります。

結論から言えば、農業を何百万の人びとを食べさせる手段としてだけではなく、環境危機の解決策として利用するのなら――そして、私たちの生存のためにはそうするべきです――私たちは具体的になる必要があります。業界や農家は〈ロデール〉が作ったような、リジェネラティブ・オーガニック農業の具体的で明確な定義を促進するべきです。そうすれば、業界も消費者も自信をもって決断し、現行のシステムを変えるべく前進することができます。

パタゴニアが1990年代半ばにはじめて私たちのオーガニックコットンのサプライチェーンを開発したとき、オーガニックは農業を通じて惑星と人間の健康を保護するための長い旅のただ第一歩にすぎないことがわかっていました。それ以来、私たちは多くを学び、私たちのビジネスにリジェネラティブ・オーガニック農業を組み入れるため、現在能動的に取り組んでいます。私たちの高まりつつある食品ビジネスであるパタゴニア プロビジョンズが、すべての製品に要求しているのは、土壌を再生する、あるいは持続可能な漁業の実践に対する約束が反映されているものであるということです。社内のベンチャー投資基金であるティンシェッド・ベンチャーズを通して、私たちは新しいリジェネラティブな事業(そして水や石油の使用を削減、あるいは廃絶するその他の努力)に投資します。

私たちはリジェネラティブ・オーガニック農業という解決方法が簡単なものではないことは知っています。実際、リジェネラティブ・オーガニックを実行することは、地元の土壌と気候、特定条件により順化したハイブリッド種の開発、そして土地使用と地域社会計画へのより全体的な取り組みに、深い注意を払うことが要求されます。しかし惑星が危険な瀬戸際にあるいま、リジェネラティブ・オーガニック農業は、人間の環境への影響を削減することのみならず、実際にすでに招いた膨大な危害を逆転させる、極めて重要な機会をも提示しています。

業界の先導者たちはこの挑戦に対応するために勇気とリーダーシップを発揮せねばなりません。私たちが現行を維持することから意義ある脱却を遂げ、そしてグリーンウォッシングや安価な代替え作を受け入れることを拒否して、リジェネラティブ・オーガニック農業を採用した製品作りへの意識と新たな忠誠を構築するために他者と協力することができれば、大規模な真の変化を作り出すことができます。

私たちがリジェネラティブ・オーガニックについて学んでいること、その慣行をパタゴニアのサプライチェーンに組み込むというパタゴニア自身の仕事、そしてこの重要な仕事を推進させるための他社および他の組織との取り組みについては、継続してお伝えしていきます。

リジェネラティブ・オーガニック農業がどう機能するかについてのビデオは、『土の値打ち』をご覧ください。より深く掘り下げて知りたい方は、工業農業が生産するものよりも栄養素が高く、より美味な高品質の食品の生産に取り組む4社の素晴らしい仕事についての、クリス・マロイによる25分の映画『Unbroken Ground(未開の領域)』をご覧ください

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