それで、どうする?
世界中で700万人以上を動員した気候行動週間を振りかえりながら、それに参加した私たちはみずからにこう問いかけている。それで、どうする?
私は懸念する市民として、父親として、またパタゴニアのビジネスリーダーとして自問する。
9月20日から28日にかけて、パタゴニアのアメリカのチームは1週間にわたるグローバル気候ストライキに参加し、ヨーロッパの38の都市でバナーを作り、掲げた。ビジネスとして、私たちはストライキをするパタゴニアの社員全員を支援するために、必要な世界中の直営店を閉店することも大切だと感じた。そして、親として、またひとりの人間として、世界中の若い気候活動家の行動に深く胸を打たれた。故郷である地球を救うために深淵なる変化を起こさないかぎり、私たち人間が絶滅危惧種に挙げられてもおかしくないことを、私たちは知っている。
私たちは団結し、化石燃料時代の終焉とすべての人のために気候正義を要求して、ヨーロッパ全土であらゆる年齢と背景をもつ400万人の人びととともに立ち上がった。そして私たちは元気をもらい、闘う意思とともに日常生活に戻った。ビジネス界において価値観を同じくする私たちは旧態依然の日々は終わったことを確信している。しかしこれからのビジネスの新しい時代とは、いったいどのようなものなのだろうか。そしてどうしたら私たちの役割を利用して、ただたんなる歴史的な瞬間だけではなく、毎日、既存のシステムをすべての生命が依存する自然世界を優先させるそれに置き換えることができるのだろうか。
第一段階は自社の行いを確実に正すことだ。パタゴニアでは、これは私たちが製造する製品、操業方法、サプライチェーン、そして私たち自身を厳しく吟味し、廃棄物と炭素、そして化学薬品のフットプリントを削減する対策を講じることを意味する。
気候危機に対応するためにみずからの責任を果たすことのひとつとして、パタゴニアは2025年までにサプライチェーン内の繊維工場から農場レベルまでのビジネス全体で、炭素排出をすべて廃絶、または緩和することを誓約する(詳細はこちらをお読みください)。この意欲的な目標は4つのプロセスを経てのみ達成可能だ:私たちの影響の測定、その影響の削減、100%再生可能エネルギーへの転換(すでに自社内では達成済み)、炭素隔離。つまりその違いは汚染を止めることとそれを除去することだ。
自社の影響以外に、私たちはビジネスとしてパタゴニアが主張することに倍掛けを誓約する。ここヨーロッパでは、これは野生地を保護・保全すること、そして分散型エネルギー業界を支持することでより再生可能なエネルギー源への移行について活発な役割を担うことを意味する。そしてそれはまたパタゴニアの創業者のイヴォン・シュイナードが「地球温暖化に闘うために人間にできるいちばんのこと」と呼ぶ、環境再生型有機農業慣行を提唱することも意味する。
個人として、ビジネス人として、またコミュニティの一員として、私たち全員にはあるレベルの影響力があり、議論を着火して、他の人を闘いに巻き込む機会がある。私たちはその影響力を効果的に利用できるようエネルギーを注ぐことに集中しなければならない。たとえば、ビジネスの場合はBコーポレーションのメンバーシップを通して、あるいは個人とビジネスの場合は〈1%フォー・ザ・プラネット〉への財政的援助の誓約などによってだ。
私たちの政府は気候問題と生態系危機を解決する役割を果たすことができない。パタゴニアの社員とお客様は、街頭に出ることによって、みずから行動を起こす用意があることも、ビジネス界にも同様を期待することも示した。そして肯定的な環境変化をもたらすことに焦点を当てた新しい形態のリーダーシップを示す用意があることも。
パタゴニアでは、お客様が気遣う問題について行動を起こすより多くの機会を地元地域のために作らねばならないことを理解している。こういった人びとを支援するひとつの方法はプラットホームを利用することだ。これは懸念する市民を彼らが情熱を抱く大義のために闘う地元および国際的な非営利団体とつなげるデジタルのツールである。
〈1%フォー・ザ・プラネット〉を通して売り上げの1%を草の根環境団体に寄付することで、ヨーロッパの約160団体を含む世界的な非営利団体のネットワークを構築することができた。これらはより大きな声を必要とする小さな団体であることが多く、そのための技能と支援はパタゴニアのお客様の多くが有する。パタゴニア・アクションワークスにより、これらの団体が環境危機への解決策のためにより素早く、より大規模に闘うためにその影響力を拡大することができる。
そして私たちには期待できるもうひとつの大きな瞬間がある。グローバル気候ストライキ週間は終わったが、〈エクスティンクション・リベリオン〉は非暴力による破壊的な市民的不服従、つまり反乱を、世界の60の都市でもたらす計画をしている。彼らが私たちの多くに明らかにしたように、否認の時間は終わった。行動するときだ。
私たちにとって活動主義が意味するものが何であれ、そして参加できるのがどのようなものであれ、私たちは利用できる影響力はすべて駆使しつづけなくてはならない。今日も、そして毎日、手遅れにならないうちに。