4度目のダークセンダービー
ダークセンダービーは、世界的に知られるプロスノーボーダーのジョシュ・ダークセンが地元、オレゴン州ベンドのマウント・バチェラーでイベントを開催したいというのがはじまり。地元やスキー場の負担にならないよう大がかりな仕掛けを使わずに、なるべく少ない資金でどのようなイベントを作りだせるかと考えた結果、地元有志やボランティアを募り、手掘り・手作りで小規模な連続バンクのスラロームコースを作成し、タイムを競い合うラリー形式のレースというアイデアを考案。時を同じくして、地元ベンド出身で将来有望な若手スノーボーダーであるタイラー・エクルンドが競技中の事故で頚椎を損傷した。タイラーは保険に加入しておらず、膨大な治療費を自費で支払うことを余儀なくされる。これを機にジョシュは企画していた大会の目的をタイラーの治療費を集めるため、そして頚椎や脊椎損傷患者やチェアスキーの認知度を上げるためのチャリティーイベントにすることに決めた。
大会はさまざまなクラスに分けられており、プロ・アマ、男女、年齢別、スプリットボードやチェアスキー部門など、老若男女、健常者、障害者が一同に介して楽しい時間を共有するイベントとして誕生。2006年の初開催時は極少数の参加者に留まったものの、噂は広がり、参加者の数は年々増加し、いまではマウント・バチェラーの冬季シーズンを代表するイベントにまで育ち、参加者数は全クラス合わせて500名を超え、エントリー制限されるまでになっている。今回、2017年12月に第10回目を迎えたダークセンダービーのチェアスキー部門に参戦するため、2年ぶりにマウント・バチェラーを訪れた。
現地サポートとして〈GENTEMSTICK〉のドミが同行してくれたおかげで、すべてがスムーズに進んだ。事前情報では、今シーズンは11月からいい雪が降っていたのでグッドコンディションを期待していたのだが、ゲレンデコース以外は雪がなく、コース内でさえ石が転がっているような状態だった。今まで訪れたなかで一番雪が少なかったおかげで、コース外を滑らなかったからボードのソールを傷つけずに済んだ。バチェラーは岩の多い山で、シーズン初めに雪がついてると思ってうっかりコース外に出るとガリッと嫌な音を聞くことになる。そんな状況でも雪をかき集め、素晴らしいコースを作ってくれたローカルたちには感謝しかない。
ダービーのコースは二本ならんであり、どちらもスタートとゴール位置はほぼ同じで森の中に絶妙に配置されている。今年のコースはグリーンコースの真上をレインボーチェアリフトが通っていて、リフトに乗りながら観戦することもできた。グリーンコースはスピードの出る気持ちいい大きめのバンクコースで、レッドコースはテクニカルなタイトなバンクが続くコース。2本の合計タイムで勝敗が決められる。ダービーのコースは毎年造成場所が変わり、毎回どんなコースになっているのかわくわくする。
結果は前回と同様、優勝したかったがラヴィに負けてしまい2位だった。レッドコースはチェア部門1位通過だったが、グリーンコースでターンミスして失速、合計タイムで負けてしまった。ラヴィはいつもフリースタイルの板に乗っていたのに、今回はレーシングの板に乗っていたし、チェアも新調していた。ラヴィはソチのパラリンピックを目指して頑張っている。負けたのは悔しいが頑張ってほしい。
ジョシュからのリクエストでムービーフェストにも参加。向圭一郎氏に映像編集をお願いしてのエントリー。チェア部門の一位を獲得。この順位は作品を見た観客の投票で採点される。ベンドのスーパーでは、ローカルのスノーボーダーに「ムービーかっこよかったよ」と声をかけられたのもうれしかった。上映作品はこちらから。