遺伝子組み換え食品が安全なら、ラベルを付けられるはずです。
パタゴニアの創業者イヴォン・シュイナードが2000年代初期に遺伝子組み換え食品について執筆しはじめたとき、彼は合理的な疑問を投げかけることからはじめました。「遺伝子組み換え食品について衣料品製造会社は何を知っているのだろう」
その答えは「十分ではない」でした。そしてそれは他の人も同じです。イヴォンは遺伝子組み換え食品が蔓延していくなかで、それが野生と生物多様性に及ぼす重大な脅威を予測したのです。
それから10年以上の後、遺伝子組み換え食品が日々の生活で急激に普及するなかで、しかし消費者の基本的な認識はいまだに不十分です。
そして連邦議会に提出された憂慮すべき法案がそれを継続させようとしています。「Safe and Accurate Food Labeling Act of 2014 (H.R. 4432)(安全かつ正確な食品ラベル法令2014年)」は、製造業者は遺伝子組み換えを含む食品ラベルを付けなければならないという義務をすべて取り去ります。誤解を招きかねないその法令のタイトルからは、消費者を無知のままにしておく意図も伺えます。
私たちは皆、食品に何が入っているのかについて知る権利があります。遺伝子組み換え種子の製造業者は、日々の食品の多くに入っている遺伝子組み換えコーンや大豆は安全であると主張します。でもそれらが安全ならば、なぜそうしたラベルを付けないのでしょうか。
現在、世界中の64か国が遺伝子組み換えを含む食品のラベル付けを義務付けています。欧州連合の28か国、それに日本、オーストラリア、ブラジル、ロシア、中国を含むほとんどの先進諸国がラベル付けを求めています。
しかしアメリカでは、さまざまな食品会社が結集し、遺伝子組み換え食品のラベルを義務付ける法案を可決した初の州となったバーモント州に対して、訴訟を起こしました(先月、地方裁判所の判事が遺伝子組み換え食品のラベル付けを支持する判決を下しました)。
ときとして新しいテクノロジーは見ること、感じること、そして定義することすら困難な限界へと私たちを追いやります。遺伝子組み換え食品のような新しいテクノロジーはラベル付けされるべきです。そうすれば摂取する危険を冒したいかどうか、私たち自身が決めることができます。
それは私たちには常識のように思えます。だからなぜこれほどまでに遺伝子組み換え食品のラベル付けに抵抗があるのか不明です。ラベル付けに反対する大企業はラベル付けのコストが高く、消費者にそのコストが転嫁されるなどのさまざまな理由を掲げています。しかし独立調査では製造業者はマーケティング理由により定期的にラベルをアップデートするため、これはあり得ないことであると示しています。
さらに、世界中には遺伝子組み換えに対する、実績ある優れた代替えがあります。オーガニック農業です。近代のオーガニック農業は従来農法のシステムにひけをとらない生産性を誇りながらも、より安全で持続可能です。地域に適した農作物、間作、栄養素のリサイクルの改善、浸水と土壌浸食と水使用の最小化のための新しいテクノロジーを採用することにより、小さな農耕地で高収穫率を得ることができます。
遺伝子組み換え種子が世界中の農業生産を大幅に増やすという主張はおそらく真実でしょう。しかしそれは非常に短期間においてのみの話です。オーガニックと従来農法の産出高を比較したとき、〈ロデール・インスティチュート〉はオーガニックに切り替えた最初の数年は産出高が減少したものの、その後は従来農法システムと同様あるいはそれ以上の産出高に戻ったことを発見しています。
オーガニック農法は地球に毒を撒かずに私たちの食卓に食物を(そしていま着ている衣服)をもたらします。
パタゴニアは1996年にオーガニックコットンに切り替えました。なぜなら私たちは従来農法のコットンに多くの農薬が使われていることを知ったからです。私たちの新しい食品ライン「パタゴニア・プロビジョン」ではオーガニックの材料のみを使用しています。
ビジネスは前向きな手段に対応しながら進んでいます。過去6か月でいくつかの食品およびレストラン業界が遺伝子組み換えを含む人工の原材料を除外し、製品のフォーミュラを改質する計画を発表しました。
しかしオーガニック製品を購入しなくても、大半の人は摂取する食品に入っている材料について知りたいと言います。私たちは自身と家族に食べさせるものについての情報に通じ、私たち自身で選択を下すべきです。
だから、最近食品ビジネスに参入した衣類製造業者として、私たちは地球とそのすべての住人を将来生かし、健康を維持することができるよう方向づける透明性やその他の要請を強く主張しないことは、無責任だと信じています。
私は5月20日にワシントンD.C.で、食品ラベルの透明性の重大な必要性について他のビジネスリーダーとともに議員と会話をもったことを誇りに思います。知る権利を保護するための詳細をJustLabelIt.org(英語)にてぜひ学んでください。