クリーネストライン


オールドスクールがついにアイオニアン・ベースンに挑む。Photo: Sally Loomis
オールドスクールがついにアイオニアン・ベースンに挑む。Photo: Sally Loomis

製品テスト:新しいキャプリーン3でバックパッキング

By オールド・スクール   |   2010/12/20 2010年12月20日

私たちはさまざまな段階でギアをテストします。パタゴニアのアスリートやアンバサダーは、新製品がパタゴニア製品ラインに加えられる前に最新のデザインや素材の力量を試す役割を果たしています。でも何かが納品されたからといってテストが終了したわけではありません。新製品がカタログに登場したら、カスタマーサービスのスタッフは現場検証にいそしみます。カスタマーが聞いてくるであろう質問を予期し、それと同じ目で私たちのギアをテストするのです。_____________________________________________________________________________

フィールドレポート:アイオニアン・ベースンへのバックパック

オールドスクールがついにアイオニアン・ベースンに挑む。Photo: Sally Loomis
オールドスクールがついにアイオニアン・ベースンに挑む。Photo: Sally Loomis

コンディション:雨のち晴れ

テストした製品:キャプリーン3・ミッドウェイト・クルー

今シーズン、寒い天候時のベースレイヤーで最も人気のキャプリーン・ミッドウェイト・ベースレイヤーが改良されました。素材はダブル織りの5.4オンス・ポーラテック・パワー・ドライ・ポリエステル(リサイクル・ポリエステル65%)で、2層構造の素材は吸湿性に優れた内側と汗を素早く発散させる外側から成っています。新しい素材はまた、伸縮性と耐久性も向上しました。けれどもキャプリーン3を手に取ったときに最初に気づくのは、従来のものよりはるかにソフトな肌触りでしょう。そのうえ速乾性は130%、吸湿発散性も38%ほど向上しています。新しい素材の採用に加えて縫い目とフィットも改良し、最高のベースレイヤーと自負していた製品を、さらに向上させました。ですが皆さん、こう思われているのではないでしょうか。「たしかに良さそうだけれど、フィールドで実際に使うとどうなの?」、「 改良点を本当に実感することはできるの?」 それは私たち自身も疑問に思っていたことです。パタゴニアの製品はつねにアンバサダーや製品テスターによって検証されています。彼らはずばぬけた見識を共有してくれることは間違いありませんが、私たち凡人とはかけはなれた卓越したアスリートです。ということでリノのスタッフ数人がちょっぴり偏見を交えた、新しい秋のギアの評価をご紹介します。リノには素材ラボはありませんが、山はたくさんあります。そして私たちはプロのアスリートではなく、皆さんと同じようにアウトドアの愛好家です。

* * *

エボルーション山域のすぐ西に位置するアイオニアン・ベースン。そこはシエラ一帯の高度の高い場所にある他の100以上の盆地と同じく、岩だらけで荒涼とした人気のない場所という評判がある。しかし僕にとってアイオニアン・ベースンは、他とは違って、何度挑戦しても力のおよばない場所だった。そこを訪れる試みに4度も失敗したあとでは、目に見えない何らかの力が僕の進入を阻止しているのではないかと思いはじめたほどだ。もちろん、これは僕の欲望をさらに駆り立てた。

エボルーション・クリークを渡るケン。
エボルーション・クリークを渡るケン。

最初に拒否されたのは僕がまだ高校生のとき、友人とアイオニアン・ベースンを通り抜け、エンチャンテッド・ゴルジュからキングス川の中流まで、2週間のバックパッキングを計画したときだった。不幸なことに(いや幸いなことだったかもしれない)、パイユート峠からの入山許可が取れず、ラマーク・コルから入ることになった。これは当初の計画よりずっと早くアイオニアン・ベースンに到着することを意味した。しかもエンチャンテッド・ゴルジュはシエラの中でも最も過酷なクロスカントリー、つまりトレイルのないルートであるという評判がある。僕らは計画を変更することにした。そんなルートに重いバックパックを背負ってなどいきたくなかった僕らは、ジョン・ミューア・トレイルの群集に加わることにしたのだ。

そのあと2度の試みでは、あと1.6キロという所までさらに近づくことができた。どちらも春のツアースキーで、吹雪の中、ミューア・ハットに到着したときだった。ミューア・ハットはシエラの数少ない山小屋のひとつで、悪天候のときはうれしいが、お世辞にもきちんとした山小屋とは呼べない。ミューア峠の頂上、標高3,600メートルに位置する石造りの避難所なのだ。暖炉はあるものの、いちばん近くの木は峠から標高300メートルも下らねばならない。その昔シエラのバックパッキングには、冬期の旅行者のために夏期のバックパッカーが薪を1本づつ運んで、小屋に残しておくという伝統があった。僕自身、ボーイスカウトだったときにこれを実行したことがあったが、最後に小枝の1本を誰かが残したのはずいぶん前のことに違いない。まったく暖のとれない小屋はまるで冷蔵庫の中にいるようなものだ。いや、冷蔵庫より寒く、居心地も悪い。それでも吹雪の中ではそこを去りがたく、テントよりは辛うじてマシ。2度とも小屋に着いたあとに1日の自由行動日を取ってアイオニアン・ベースンを探索する予定だったが、外では雪が降り積もり、退屈さと戦いながら避難所の中で1日を過ごすはめになった。そして、アイオニアン・ベースンを旅する最後の計画は自転車事故で鎖骨を骨折し、はじめる前におじゃんになった。

今年7月に再挑戦を決めた。新しいキャプリーン3を武器にアイオニアン・ベースンを旅の焦点にして、友人サリーと僕は出発した。入山はノース・レイクからラマーク・コル経由にした。幸いなことに初日はその夏唯一の雨模様となり、レイン・ウェアの下にキャプリーンを着るチャンスに恵まれた。初日にコルを越える予定だったがそこら中に雷と稲妻が落ち、あまり高くない所でキャンプすることにした。僕らはアッパー・ラマーク・レイクを見下ろす悪天候から保護された場所を見つけて、キャンプを設営した。

古いキャプリーンと新しいキャプリーンの差はものすごいとはいえない。これはキャプリーン3の長年の愛用者としては良いことだといえるだろう。だが、際立った違いも感じた。まず新しいキャプリーンは本当にソフトな肌触りだということ。そして古いキャプリーンに比べて、「速乾性が130%、吸湿発散性が38%向上」とまでは断言できないものの、肌がベタつくことも汗で体が濡れることもまったくなかった。典型的なシエラの天候どおり雨が止むと暖かい晴天となったが、肌寒い朝夕には着用して、バックパックも背負った。新しい素材は耐摩耗性にとても優れていることにも気づいた。キャプリーンの上にわざとウエストベルトを着けたが、肌が擦れることは一切なかった。バックパックのストラップについても同じで、肩も擦れない。最高のテクニカル・ウェアとは着ていることを忘れさせるものだといつも思っていたが、新しいキャプリーンはまさにそれに合格している。

マーサ・レイクでテン場を探す。Photo: Sally Loomis
マーサ・レイクでテン場を探す。Photo: Sally Loomis

アイオニアン・ベースンを訪れることがむずかしい理由のひとつに、そこまでたどり着くのに数日かかるということがあるが、僕らは3日目の夜にはベースンの北のマーサ・レイクでキャンプしていた。そして翌朝名もない峠を300メートル登ると、そこはアイオニアン・ベースンの真っ只中だった。ついに到達したのだ。荒涼とした人気のない場所という評判は間違っていなかった。僕たちはその場所を独り占めできた。そこにはシエラのクロスカントリー・ルートではごく一般的な、ケルンや未整備の登山道などもまったくなかった。そして7月下旬にもかかわらず、ほとんどの湖はまだ一部、氷が張っていた。道はとても険しく、8キロ進むのに丸1日かかったほどだ。ハイ・シエラの多くのベースンと同じく木は一本もなく、あるのは広大な湖と頂と岩と雪のみ。北端は割れた破砕変成岩で、南端へ向かうにしたがって、やがてそれはより独特の、ツルツルのシエラの花崗岩に変わった。僕らはソロモン山の真下にある無名の湖、「レイク・11592」のベースンで一夜を過ごした。翌朝キャズム・レイクの河口をたどってベースンを出たが、そこはエンチャンテッド・ゴルジュへの入口でもあり、僕たちは反対岸へまわって、下をのぞき込まざるを得なかった。大昔にこの渓谷へ実際に降りていったらどうなっていたのだろう、とよく想像する。僕たちのいる見晴らしの良い場所から眺めると、行く手をはばむようものは何も見つからなかった。もちろん、厄介なものは見えない所で待っているのだが。

アイオニアン・ベースンをあとにする。Photo: Ken La Russa
アイオニアン・ベースンをあとにする。Photo: Ken La Russa

今回の僕たちの脱出ルートは非常に簡単だった。南側の流入地点をさかのぼって、ブラック・ジャイアント峠を登った。3.6キロのボルダーフィールドを飛び越えたあと、ミューア峠のすぐ南でミューア・トレイルに合流。そこからラ・コント・キャニオンからビショップ峠を超えると、サウス・レイクまでの3日の壮大なハイクが残っていた。う〜ん、エンチャンテッド・ゴルジュってどのくらい大変なんだろうか…。

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